偶然だった。
寮への帰り道、写真を撮りに行くといって先に帰った筈の哉太が、発作を起こして蹲って居た。慌てて俺の部屋まで運んで、ベッドに寝かせる。
大分顔色も良くなったし、息も整ってきた、とりあえず一安心だと俺自身も息を撫で下ろす。


「…悪かったな、なんか」

「いや、吃驚はしたけど。辛かったなら連絡くれれば迎えに行ったのに」

二人にも一応連絡すべきかどうか迷ったがやめた。もう発作は治まっているから変に心配をかけても良くないし、何より哉太が嫌がるから。


「いや、お前らには…迷惑、かけたくねーんだよ」

「俺達は迷惑だなんて思ってないよ?」

「俺は………のヒーロー…から」


「哉太?…って寝てるし」




そねまま哉太の顔を覗き込む。不良だ何だと言われてはいるものの、その寝顔は幼くて、子どもみたいだ。
いつまでも変わらない、俺達の関係。もしも彼女に彼氏が出来たら―、寂しいし、色々と心配にはなるけど、彼女が選んだ人間ならば、きっと間違いはないから祝福できる。なのに、なんで…


(哉太に恋人が出来るのは…嫌だ)


いつからだろう、哉太へ向ける歪んだ執着心に気付いたのは。哉太同様に幼馴染みである彼女に向ける独占欲のような物とは明らかに違う、それ。
俺はいつしかこの真っ黒な感情に飲み込まれてしまう自分に恐怖している。



傷付けたくない、大切な幼馴染み
傷付けたくない、大切な―――



『俺はお前達のヒーローだから』



あぁ、ごめんな、哉太。
どうしようもなく君を愛してる。



















愛しのヒーロー!
(俺を助けて)