―酷くしてください
そう懇願すれば彼は酷く乱暴に、それでも壊れ物を扱うように俺を抱いてくれて、俺が人間であると刻み付けてくれた。
―そんなんだから、君は何時までも化物なままなんだよ。シズちゃん?
「――…っ」
嫌な夢を見た気がする。大嫌いなヤツが出てきて、それで…、いや、確かにあれは数時間前の出来事だった。
だるい身体を起こせば椅子に座って紫煙を燻らす彼が居た。俺の視線に気付いたのか優しく笑いかけて揶揄うように言った。
「また情報屋に苛められたのか?」
「…っな!別に、アイツは…関係ないです、けど」
言い当てられてしまったから不貞腐れるように呟けば、子ども扱いするように俺の頭を撫でながら笑う彼には、悔しいけれど俺は一生敵わないんだろうと実感する。
彼には、四木さんには…全てを見透かされてるようで居たたまれなくなって枕に顔を埋めた。
…だって、初めてだったんだ。
俺を人間と認めてくれた上でこの力をカッコいいと言ってくれたのは。
貴方が認めてくれたから、俺は。
まるで刷り込みのよう
(好きになれたんです)
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