「…やっぱりカッコいいねえ」



南池袋公園で静雄が暴れている、と若いのから聞いて来てみると、何があったかは分からないが確かに静雄が喧嘩をしていた。

刃物を持った大勢の人間を相手に、その身一つで向かう静雄は、一言で表せば「カッコ良い」に尽きると思う。

あの記者にも話したが、決して綺麗な喧嘩な訳ではない。荒々しくて、無茶ばかりな喧嘩。だが常識を超越したような静雄の喧嘩に、良い歳した大人でさえも心を奪われてしまう。


圧巻なる畏怖と憧憬。
誰もがその圧倒的な力に恐怖し、怯え、そしてカッコ良いと憧れに近い感情を抱く。


何よりも、その表情は驚く程に綺麗で。
荒々しい喧嘩なのに、とても美しいものを見ているような、そんな錯覚に陥る。


魅入るようにその様子を眺めていると携帯が震えた、メールの差出人は贔屓にしている情報屋。



「牽制のつもりかい?…くくっ、まだまだガキだな」



携帯を閉じて踵を返す。
いつかこの手にあの最強の人形を墜としてみたい、そんな事を考えながら。






















欲しいなら奪い取る
(大人ってのは汚いからね)