子どもの頃は腹痛の波が襲ってくると、何故か神様に祈ったり謝ったりしたような気がする。だからといって何かが変わるわけではないのに。

そしてそれは今、ソファに丸まっているこの子どもも同じで、良い子にするから、とか何とか唸っている。



「うー、痛い痛い死んじゃう」

「薬飲めば良くなるよ」


薬と水をテーブルに置くとそれを睨み付ける。そしてぷいっとそっぽを向いてクッションに顔を埋める。


「飲まなきゃ良くならないよ」

「…………粉はいやだ」


さっきまで神様に我が儘言わないとか言ってたくせに早速我が儘言ってんじゃん。それでも弱ったシズちゃんはレアで可愛いとか思ったりしてしまう辺りが末期なのかもしれない。

仕方ないから冷蔵庫へ足を進める。牛乳は膜を作るから効果ないって聞いたしな…、どうしようか、まったく。




「シズちゃん、はい。」

「…ヨーグルト?」

「お腹に良くなるって書いてあるでしょ?ヨーグルトはお腹に良いんだよ」


まぁ、薬混ぜたけど。
そんな事は何も知らないで美味しそうに食べる姿を眺めていれば、知らずに表情が緩む。やっぱり、元気なシズちゃんのが可愛いな。




















隠し味は愛情
(優しさで出来てる)