・しずにゃんこ






ふわふわな毛並みは蜂蜜色で、小さい体に似合わない物凄い怪力、頭は単純馬鹿で好物はプリンと牛乳。

それがシズちゃん。うちの猫だ。



「……………なにしてんの」

「に゛ゃっ………、いざや」



セルティの元に遊びに行って、帰って来ないから少しだけ心配になって散歩がてら様子を見に行こうとすれば……家の前に座り込んで居た。何故か全身びしょ濡れで。

成る程、濡れたまま帰れば俺に怒られると踏んだのだろう、足りない頭で考えたにしては考えた方だが…やっぱり馬鹿だ。色々言い訳をしようと目を泳がせながら考えているのを可愛いと思うのは…親バカというやつなんだろう。


「……分かったからお風呂場、風邪ひくから」

「…………やだ」

「口答え出来る立場なの?」

「………………」

「ほら、行くよ」



お風呂場に放り込んでお湯をかけてやるとじたばた暴れる馬鹿猫に、少しだけイラッとして、急所だと思われる尻尾を掴んで暴れるのを止めようとした。


「シズちゃん、いい加減に…っ」

「ふにゃあっ」

「?!」

「いじゃ…やぁっ、らめっ、」

「………えっ、な…っ」

「やぁっ、らめなのぉっ」



え、何これ。
シズちゃんの頬は湯気だけじゃなく上気して紅くて、目には涙をたくさん溜めて見上げて訴えてて…正直、すごくエロい。
何これ、何なの。


「にゃあぅっ」


思わず尻尾を握る力が強くなったらしい、耳をピンと立ててびくりと反応する身体がいやらしくて、どうしよう…どうしよう。
今までも可愛いと思うことはたくさんあったが、それはあくまでも愛でて可愛いという感情で、親バカというか、そういうものであった筈なのに………え?



「シズちゃん…」

「うにゃっ」


………ごめんシズちゃん。
俺…、何か開けちゃいけない扉を開いちゃったかもしれない。




















ねこかわいがり
(何を今更!)