・色々捏造






幼い日の約束を、成人した今でも覚えてるだなんて純粋な事、俺を知る人間なら似合わないと笑うだろうし、実際俺も似合わないと思う。



人は記憶の容量がいっぱいになると、不要であったり、暫く使わないであろう情報から奥へと収納していくと聞いた。そしていずれは破棄されると。


なら15年以上も彼との約束を覚えている俺にとっては、あの記憶は要らない情報ではなくて、大切なものなんだろう。

例え幼い子どもの戯言のような口約束でも、俺にとっては、大切な大切な約束なんだ。例え君が覚えていなくても。




―おれはね、しーちゃんが好きだよ。愛してるんだ

―あい…?よくわかんねえけどおれも、いーちゃんがすきだぞ

―じゃあしーちゃん、約束して、おっきくなっても、いっしょにいてくれるって

―バカじゃねえの?あたりまえにきまってんだろ?




小さな子どもの約束、そんなもの普通ならばすぐに忘れてしまうもので、例外なく彼もその普通にカテゴライズされる人間で、高校で再会しても俺の事を覚えて居なかった。


分かってたけど、寂しいじゃないか。


一緒に居てくれるって言ったのに、簡単に忘れてくれちゃって、酷いよね。
でも俺は優しいから、シズちゃんが思い出してくれるまで待ってあげるんだ。

それでいつか思い出してくれたなら、その時にはまた言ってあげるんだ。



「しーちゃん、だいすきだよ」




















純粋に歪んだ恋の話
(一途な恋だと言ってよ)