・シズビッチ気味
・ナチュラルに同居
ふぁ、欠伸をひとつ、朝のにおいが部屋を満たしていた。やたらに暖かいなと思えば、隣に臨也がいることを思い出した。のそのそと起き上がり、布団を剥いだ。
「おい、臨也」
「んー…」
隣で寝ている臨也を起こしてみる。まぁ起きる筈がねえって事くらいわかってるけど。
「…………」
「…うぅ、……んー…」
ばさりと剥いだ布団をもとにもどした。しょうがない。こいつの仕事はあるようでないみたいなもんだし。放っておくか。俺は仕事なのに良い身分だよな、ニートってヤツはと言えば情報屋だよといつも不貞腐れる。
「朝飯おいとくぞ」
一応臨也にも朝食を準備してみた、と言っても俺の残り物だが。あぁ、今回はなかなかの出来だな。
ちなみに嫌がらせとして毎日青汁を置いておく。あれだ、健康を考えてやってんだから感謝して欲しいよな。
さて、それじゃ本当に行くかな。
「シズ…ちゃん」
「…臨也……、起きたのか」
もういくの、と目を擦りながら言う臨也に弟を思い出して笑いかける。
臨也は眉を潜めたまま何も言わない。何だか泣きそうな顔は、毎朝見ていたら慣れてしまった。
「……ねえ、今日カレー食べたい」
ああ、今日はそれか、と心の中で小さく笑った。
「自分でつくれよ」
「うるさいとにかく食べたい」
じゃあな。と臨也の家を出た。いってらっしゃい。と背中にかかる声が心地良かった。
「………そんなこと言わなくても、ちゃんと帰ってくるのに」
臨也は素直じゃなくて臆病で、俺のことが好き、なんだ。これは多分きっと自惚れなんかじゃない。
でも俺はな、臨也。
お前の好きなんて、欲しくない。
所詮形のないお前の思いなんかよりも深い深い何かが欲しいんだ。
かたちあるもの
(じゃないと不安なんだ)
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