・霊感少年×何かの妖怪






人ならぬ存在、化物とか、或いは幽霊の類が見えると気付いたのは物心つく前だったと思う。それほどあれらは自然にそこに居たから。
幼い時分はその見分けがつかなくて周りから奇異の目で見られることもあった。だから関わらない、気付かないふりをしていればあれらは何もしてこないから。


ただ、そこに居るだけだから。



学校の帰り道、今日は午前中で授業が終わり、暇だからいつもと違う道を通ろうと迂回したのは偶然だったのだろうか。
何となく、導かれる訳じゃないけど神社なんて寄ってみたのは、偶然だったのだろうか。


ただ一つ、樹齢何百も経つ巨大な御神木の下に眠る彼を見つけた事だけは、偶然じゃないと思いたい。







「神社の子……かな…」


袴着てるし。でもここの神主さんってまだ全然若い上に独身だった気がするから、もしかして弟かな?…と考えながら近付き、木の幹に丸まって眠る少年を覗き込む。

何故だろう、無性に触れたい。
その透き通る白い肌も、綺麗な金色の髪の毛も、伏せられた瞼の上の睫毛も。…触ってみたい。そんな衝動に近い感情が駆け巡った。


唐突にぱち、と目を開けた少年は、彼に伸ばしかけた俺の手と俺自身を確認し、驚愕の表情を示した。


「…お前…俺が見える、のか…?」

「………まぁね……」


やってしまった。
そうか、この子はそうだったのか……あまりにも自然過ぎて気付かなかった。避けていたものに自分から近付くだなんて不覚だな…、しかしどうしようか。目の前の少年はまだこちらへの警戒を解いてくれない。こちらの様子を伺いながらも微妙に威嚇する姿は近所の野良猫を思い出す。


「………怖く、ないのか」

「…別に」


慣れてるし。いや、まぁ関わらないようにしてただけだから彼らの実態なんて知らないし、そう考えたらやっぱり怖いかもしれないけど…、考えが纏まる前に彼を一瞥すれば、大きな目を溢れそうになるまで見開いて嬉しそうな顔をするから、何か色々吹っ飛んでしまったんだ。




















偶然も必然のうち
(一目惚れでした)