・捏造来神時代






随分年期の入ってるだろうボロボロな畳の張られた武道場で、少し安っぽい柔道着を着た級友達がほぼ遊び半分で組手をしているのを眺める。正直、暇だな…。


「あれ?静雄、組手の相手は?」

「門田が休みだからな…」


武道系の授業になるとやっぱりみんな俺を避ける。いつもは門田が相手をしてくれるが今日は風邪で休みだ。こればかりは仕方ないから今日は迷惑をかけないように出席しながら見学してようと思っていた。思って、いたのに。


「馬鹿力だと組手の相方もいないとか…可哀想だから俺が相手してあげよっか?」

「てめぇ……言ったな、絶対殺す」



どっから沸いてきたのか分かんねぇノミ蟲から直々に死にたいって言われたんだ、期待に応えてやらないといけねーよなぁ…よし。確実に殺す、一発で仕留める。

いつもなら仲裁を担当する門田は居ない。体育教師も諦めたのか呆れた顔で「一回勝負だからな」とだけ言った。





一瞬だった。

本当に一瞬。


次の瞬間、気が付いたら俺の頭上には天井が広がっていた。…………何が起きた?



「……………は……?」

「俺さー、黒帯なんだよね」


にやにやと覗き込んでくるノミ蟲。…黒帯って何だ?と首を傾げれば有段者って事だよー、と何故か上に跨がってくる。
ちょっと待て、ノミ蟲なんざに負けたってのはあまり認めたくねぇが…確か柔道って一本取られたら負けなルールじゃなかったか?打ち所が悪かったからか少しだけ噎せたけどそんなの気にしないで睨み付ける。


「……っ、………くそっ……」

「うっわ……これ超良い眺め…」


胸元はだけた上に涙目で睨むとか!誘ってる?誘ってるよね?とかよく分からん事を言い出してるが、こいつ忘れてねぇか、人の上に乗っかってることを。
つーかマジうざい、重い、退け!



「喧嘩しか知らない馬鹿なシズちゃんには、優しい俺が実践で教えてあげるね!」


勿論寝技限定ね!とか言いながら笑うノミ蟲が最高にうざってぇ顔をしていたから俺は絶対卒業までにこいつに一本背負いをやり返してやるって心に誓った。




















勝ち逃げさせるか
(絶対に殺す!)