・荒川の2話で臨静
・リク→臨也 ニノ→静雄
・中の人繋がりでやってみたかった
・溺れた臨也を静雄が助けたようです






俺は折原臨也。
人に借りを作らない事を信条に生きてきた20歳だ。

何故なら俺は次期折原カンパニーの社長。会社を継ぐにふさわしい男になる事だけを考えて、些細な借りも作らずに生きてきた。

なのに…っ、それがどうして今になって…こんなヤツに命を救われてしまったんだ!


命の恩人っていうのはつまりだ。これから先、俺が大トロを食べて美味いと感じても、こいつのおかげで、カンパニーを継いで社長イスに座っても、こいつのおかげで…俺のこれからの人生全部、こいつのおかげということに……?!

重い!!重いぞ命の恩人!!一体どうすれば返せる恩なんだ?!



「そういやお前…、濡れてるな。待ってろ家からタオル持ってくる」

そう言って立ち上がる金髪の青年、いや、俺の命の恩人。まずい!これ以上借りを作るわけにはいかない!!


「やめてくださいっ!そんなわざわざ家…………まで……」

青年は橋の下に仮設された…所謂、あれだ、よく夕方のニュースで問題になっているような、…小さい頃に作る秘密基地のような。そこによじ登っていった。……え?………………家?


「そーだった、タオルは床に敷いたんだった…………床、使うか?」

「いいえ…」


そうか…彼は貧しいんだな…大変じゃないか…男とはいえまだこんなに若いのにこんな所で…。
しかし、これは正に、借りを返すチャンスじゃないか…?!


「いやー、大変ですよねこういう家は」

「ん?」

「立地的にも湿気とか騒音がひどそうですし…」

「そうか?」

「あっ、そういえば俺、先日ちょっと株で黒出しまして…、8億程自由に使えるんですよね…。よろしかったらあなたの為に家をプレゼントさせて頂けないでしょうか…」


終わった…!!
喉から手が出るほど欲しい物の筈だ…、これで俺の借りは………


「いらない」

「………え…?いや、でも寒かったりしませんか?実際俺寒いし」

「それはお前が地球人だからだ」

「は……?」

「俺は金星人だから寒くない」



うぁーいたたたたたたたー!!
電波さんだったーーーー!!!
どうする、電波さんなら本当にいらないって言うよ!!何とかして、借りを返さなくては………っ!!


「じゃ!じゃあ!!何か他に困ってる事とかってないですか?!」

「……え…、何言ってんのお前…?」

「何って!お礼ですよ助けてもらった!」


俺がそう言うと彼は心底不思議そうな顔をして、言った。


「欲しいものがあると、人を助けるのか?」



真っ直ぐな、目だった。
射抜かれるような、真っ直ぐで、純粋な目だった。




「な……何だよ………やめろよ………何もいらない、なんて、言うなよ…………」




胸が苦しい。

息が、辛い。





「…?どうしたお前、声が…」

「…じゃないと、俺が、喘息になる…」

ストレス性のもので、折原家の持病だと説明したらもっと楽に生きろよって言われた。そんな事言われても、そういう風に育ったんだから今更どうしようもないだろ。
やべぇ本気で咳出てきた。苦しい。

お願いだから何か借りを返させてくれ、俺を助けると思って、助けさせてくれ。


「あ。一つない事もないぞ」

「っ!」

何でもする!既に咳で言葉にならないが、顔を上げて続きを促す。
良かった、これでこの命の恩人である彼に借りを返せる…っ!




「俺に、恋をさせてくれないか」



俺は折原カンパニー次期社長として、命の恩人がそれを望むなら、俺は命に変えてもそれを叶える義務があるから。

大きな星の橋の下。
ここから僕らの恋が始まる。



















情は人の為に非ず
(男に二言は…ない)