・小学校高学年×高校生






俺は折原臨也、10歳。
好きなものは寿司の大トロ、同じマンションに住む、シズちゃん。


「シズちゃん!!」

「お前また来たのかよ」


毎日恒例になっているシズちゃんの高校の側で待ち伏せして、シズちゃんに抱きつくと、今日はその隣に知らない人が居た。
クラスメイトなんだろうか、金髪で不良っぽいシズちゃんとは対照的な、清楚で真面目な雰囲気の少女。


「平和島君の弟?可愛いね」

「違ぇよ、同じマンションのガキだ」

「そうなんだ、じゃあまた明日ね」

「おぅ、じゃあな」


手を振りながら彼女が別方向に歩いていくのを見送ると行くぞ、と先にシズちゃんが歩き出すから慌てて着いていく。


「さっきの人、綺麗だったね」

「ん?…あぁ、そうだな」

「…すきだったり、するの」

「何言ってんだ?あいつ彼氏いるぞ」


あっさり言い放つシズちゃんに俺は内心ホッとする。本人に自覚はないみたいだけでシズちゃんは綺麗だから、モテる。
だから、不安になるんだ。


「俺がシズちゃんをお嫁さんにもらってあげるんだから、浮気しちゃダメだよ」

「そいつは有り難いんだが俺は男だ」

「恋愛に細かいことはいらないよ?」

「いや、全く細かくねぇだろ」

「シズちゃんは器が小さいなぁ」

「…ランドセル背負ったガキには言われたくねぇよ」


そう言って俺の頭を小突く。
こうやっていつも俺の事をガキ扱いしてくる、まったく失礼だなぁ。

でも確かに、どうして俺はシズちゃんより遅く生まれたんだろうとか、もっと早く生まれてればこんなにもどかしい気持ちにはならなかったのにって何度も考えた。
だって、この先、もしシズちゃんに彼女が出来たら、なんて―………

俺が考え込んで居ると頭をくしゃりと撫でられる。困ったみたいに笑う顔に俺も自然と笑顔になる。



「…おっきくなったら、な」

「…っ!!約束だよ!!」


絶対にだからね!!って念を押したらうるせぇよって叩かれた。力強いから地味に痛い。小学生相手に本気出さないでよ、と毒づくと、こんな時だけガキになんのかよって笑われた。



待っててね、シズちゃん。
すぐに追い付くんだから!




















恋の加速装置
(止まらない止めれない)