・めだか箱パロヤンデレ臨也の暴走
・来神で、見えなくてもイザシズ






(なんやかんやあって静雄が臨也を助けたようです)



一見爽やかな学ランのそいつは綺麗な黒髪に綺麗な顔立ちをしている。だけどなんだかそいつの事が気に入らないと感じた俺は、早々に立ち去ろうという判断に至った。同じ学校とはいえ交友範囲の狭い自分にとって彼は、どうせもう会うことはないだろうとぼんやり考えながら。



「あ、あの! 平和島君! 俺、折原臨也っていうんだけど」

「あ? ああ……つかお前何で俺の名前……」

「子供はっ…、子供は何人ほしい?」




「俺は2人欲しいな。女の子がふたりと、男の子がひとりね。名前は平和島君が決めてあげて。俺ってあんまりネーミングセンスないから。あはは、どっちに似るかな?俺と平和島君の子供ならきっと男でも女でも可愛いよね。それで庭付きの大きな家に住んで、白い大きな犬を飼うんだ。犬の名前くらいは俺に決めさせてね。平和島くんは犬派? 猫派? 俺は動物は人間含めて何でも好きだから大丈夫だよ。あ、でも勿論一番好きなのは平和島君だよ。平和島君が俺を一番好きなように。そうだ、平和島君はどんな食べ物が好き? どうしてそんな事を聞くのかって思うかもしれないけど明日からは俺が平和島君のお弁当を作ることになるわけだし、ていうか、これから平和島君の口に入るものは全部俺が作るから、やっぱり好みは把握しておきたいじゃん? 調べれば簡単だけどやっぱり本人の口から聞きたいし! 好き嫌いも偏食も良くないけれどでも喜んで欲しいって気持ちも本当だからね。お礼なんていいんだよ恋人のお弁当作るだなんて当たり前の事なんだから! でもひとつだけお願い、俺ね「あーん」ってするの、密かに憧れてたんだ。だから明日のお昼には「あーん」ってさせてね? あとシズちゃんも俺に「あーん」ってしてね? 恥かしがって逃げたりされたらショックで立ち直れないからシズちゃんの事刺しちゃうかも。なーんてね。 それでねシズちゃん、怒らないで聞いて欲しいんだけど俺ね、今までは人間全てを愛していたんだ。ううん浮気とかじゃないんだ、今はシズちゃん一筋な訳だし、シズちゃん以外に好きなやつなんて居ないよ! 今考えてみれば俺が人間を愛していたのはシズちゃんを見つけるためだったのかもしれないね。だけどやっぱりこういう事は最初に言っておかないと誤解を招くかもしれないでしょ? 愛し合うふたりが些細な誤解で仲違いするだなんて陳腐なドラマだけで十分だよ。もっとも俺とシズちゃんなら絶対に仲直りできるってわかってるんだけどね! シズちゃんはどう?今まで好きになった人とか居る? いるわけないよね。あ、でも気になる人くらいは居るんじゃないかな? 全然居てもいいんだよ責めるつもりなんてないもん。確かにちょっとは嫌だけど我慢するよそれくらい。だってそれは俺と出会う前の話だしね。俺と出会ったシズちゃんには他の人間なんてそのへんの石ころと同じようなものに決まってるからね。まぁ俺がシズちゃんを独り占めしちゃうなんて他の人に申し訳ないかもしれないけどしかたないよね、恋愛ってそういうものだからね。俺がシズちゃんを、シズちゃんが俺を選んだんだからもうそれは運命なんだよ決まってるんだ。他のやつらの為にも俺たちは幸せにならなくちゃいけないんだよ。うんでもあまり堅い事は言わずにシズちゃんも少しくらいは他の人の相手をしてもいいんだよ? だって可哀想だもんね俺たちだけ幸せすぎるのも。シズちゃんもそう思うでしょ?」


「………………あ、ああ………?」



って何頷いてんだ。
勢いに流されて頷いてしまったが確実におかしい、まず言ってる事が理解できない。ただ、何故かこいつは俺の名前を知っていて、あろうことか変なあだ名までつけてきたという事だけは理解出来た。一見して爽やかな少年だと思ったが違う、胡散臭くて狂ってる。とりあえず俺がこの理解不能な状況にキレる前にこの場から去りたい、そう思いどうにか穏便に事を済まそうと口を開いた。



「お、俺…用事があるから……」



ベタだとは自分でも思うが人付き合いというものが希薄だった自分には上手い言い訳なんて思い浮かぶ訳がない。とにかくこの場から、折原臨也から離れたかった。後ずさるように折原から離れようとすると、足元に小さな違和感を覚えた。恐る恐る見てみると、そこにはナイフが刺さっていた。



「………シズちゃん、逃げちゃダメでしょ?」



にっこり、と嬉しそうに、愛しいものを見るように笑う折原を見て厄介すぎるものに捕まってしまったと自分の運命とやらを嘆いた。









恋愛一直線
(純粋な愛だよ!)