まさかこの歳になってまでその存在を信じているだなんて思いもよらなかった。
大抵は小学校の頃に赤服のひげのおじいさんの正体は自分の両親だと知る。それはある種の通過儀式のような物だと思っていたのに、この男は、その存在を純粋に本気で信じていたのだ。



「シズちゃん眠くないの?」

「……ん、ねみーけど…今年こそ、サンタ見なきゃいけねえし……」



目を擦りながらいつもよりゆったりと話すシズちゃんに自分の耳を疑った。サンタクロースといえば、クリスマスの夜に子ども達にプレゼントを配る恰幅の良い初老のあの方で間違いないんだろう。それを、成人を超えた男がネタじゃなくて本気で信じているだとか、あり得ない。本当にシズちゃんは俺の予想の斜め上を行く、まさかサンタクロースを信じているだなんて。



「シズちゃん」

「……ん?」

「一緒にサンタ待とうか?」



ただ、そんな楽しいことを俺が見逃す訳がない。夜はまだ長いから、愉しく一緒にサンタの到着を待とうじゃないか。











「ひ、あっ……ん、やぁ……」

「シズちゃん気持ちいーい?」

「や……やだ、……あっ」

「ちゃんと窓に手をついて?サンタいつ来るか分かんないんだから」

「ひぃ、やっ…………んあっ」



ベランダの窓に手をつかせて後ろから容赦なく挿入を繰り返す。高層マンションだから誰にも見られることはないけれど、羞恥心は拭えないのだろう。いつも以上に締まりのいいナカを堪能しながらシズちゃんは見られるのが好きなのかな、と暢気に考えた。



「ひぁぁっ、あっ、あっ、もっ、だめっ」

「え?だってサンタに淫乱なシズちゃんを見せてあげなきゃ」

「やっ、……そん、な…あっ」



くすくすと我ながら意地悪く笑いながらナカを抉るように突いていく。やだやだ、と言う割りには肉壁はきゅうきゅうと絡み付いて離れない。



「やだぁっ、いざっ、臨也だけ……、臨也だけがいい!臨也だけにしか、みられたくなっあっ、ひあっ、おっきくしちゃ、やぁ……」

「誰のせいだと思ってるのさ…」



にゅぷっ、と卑猥な音を立てて中に収まって居たものを抜く。あと少しで絶頂を迎えられたんだろう、いきなり俺のものを抜かれたシズちゃんは状況が把握できないのか潤んだ目でこちらを見詰める。質量を失った後孔はぱくぱくと収縮を繰り返し、切なそうに小さく声をあげた。
窓のブラインドを下ろしてベッドに向かう。不安そうな、でも何かを期待しているようなシズちゃんの視線が痛いほどに突き刺さる。やっぱり、こんなに可愛いシズちゃんを見てるのは俺だけでいいんだ。



「おいで? 自分で入れてごらん」

「……あ、…………そ、な…」



ふらふらとした足取りで引き寄せられるようにシズちゃんが俺の元へと向かってくる。顔を真っ赤にして困惑した表情だけれどその動きに迷いは一切なくて、俺の上に緩やかな動作で乗っかってきた。解れている入口に俺のものを擦り付けると一気にそのまま挿入される。



「ひあああっ、んあっ、やっ、はぁっ」

「ほらシズちゃん、ちゃんと動かなきゃいつまでもイけないよ?」

「や、臨也っ…………無理ぃっ」

「無理じゃないよ。我が侭言うような悪いシズちゃんにはサンタは来ないかもね」

「あっ……ん……」

「悪い子なシズちゃん、シズちゃんは何が欲しいの? 言ってごらん?」

「わ、悪い子な俺は……、臨也のおっきいので、ぐちゃぐちゃにしてほし……っ!」

「良く言えました。良い子にはご褒美をあげなきゃね」

「ああああああああああっん!」



下から思い切り突き上げれば身体を反らせてビクビクと震えながら与えられる快楽に悦ぶシズちゃんは本当にエロい。まぁそうしたのは俺なんだけど。完全に理性が飛んでしまったシズちゃんにキスをして、今度はシズちゃんを押し倒す。

明日の朝はきっとシズちゃんは枕元に残されたプレゼントにまた今年も会えなかったと嘆くのだろうか、何も知らないまま。
でもそれで良い。何も知らないままの方が楽しい事だってたくさんあるんだから、今は目の前の事を楽しむべきだよね。

夜はまだ、長いのだから。









深夜未明、新宿にて
(明けない夜の遊戯)