・スタドラ9話の双子パロ
――デリックは大事な弟だから、俺が守ってあげなくちゃいけない。
それはある種の使命感みたいなもので、しっかりしているけどどこか抜けている弟を、俺が守ってあげなきゃいけないと常に思っていた。誰にも渡さない。大事な大事な俺の弟だから。
「…何見てるんだ?」
「揺れてる水面に月が浮かんでる」
「ふーん」
キュッ、とシャワーのノズルを閉める音が浴室に響く。広めの浴槽に二人、向かい合うようにして座る。双子とはいっても、プログラムである俺たちは全く似ていない。髪の毛の色も、身長も、顔立ちも、体型も、性格も。
でもそれでいい。違うからこそ俺はこの弟を誰よりも、何よりも愛しく思えるから。
「…なあサイケ、さっきはどこにいってたんだ?」
「森の奥の……フクロウの集会」
「マジで?!」
「嘘に決まってんじゃん」
「んだよ、嘘か……」
ぶくぶくと水面を揺らしながらこっちを恨みがましく見つめてくるデリックは、本当に可愛い。身長が俺より高くても、俺より声が低くても可愛い可愛い、大事な弟。だから、あんなヤツに取られるだなんて絶対に嫌なんだ。
「ウソつきだけど、あの約束は守るよ」
「ん?」
「デリックはお兄ちゃんが守るから。絶対に誰にも渡さない」
「………………サイケ、……ふ、ぁっ」
ぱしゃん、ぱしゃん、と水が抗議してくるが気にせずにデリックの身体にキスを落とす。鬱血した痕は俺だけのものだっていう証で、消えないようにと何度も重ねるように白い肌に吸い付く。普段の声からは想像出来ない甘くて高い声が、薄紅に染まった顔が、我慢しきれずに揺れる腰が堪らなくいやらしい。こんなに可愛くてエロいデリックを今更誰かに渡すだなんて、考えたくもない。
「我慢できないの? デリックはやらしいね。ここお風呂なのに」
「……ん、ふぅ……だっ、て……」
軽くキスをすれば舌を絡めてくる弟に、目眩がしそうになった。
依存と執着に沈む
(あいしてるんだ)
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