・津軽が静雄のロボ的なサムシング






俺は造られた。
愛される事を知らなくて愛する事に酷く臆病な彼が、その寂しさを埋める為に、俺は造られた。
寂しがり屋な彼が一人で泣かないように、俺はただ彼の隣に居続ける。



「いつも一人で留守番させてごめんな」

「だいじょぶ、まってる」



ごめんな、と笑う彼は俺と"同じ"顔なのに、どうしてだろう。同じには見えなくて、空っぽな筈の胸の奥がぎゅうっと痛んだ。



日付が変わる時間になると、静雄は一人で部屋に籠る。また、あの真っ黒なヤツにいじめられたのかな。
静雄の力が強くても心は壊れやすいから、だから俺は一人で泣かないように生まれてきたのに、静雄はまた独りぼっちで声を殺して泣いている。

どうしてアイツは静雄の事をいじめるの?静雄は優しいんだよ、俺にプリンを分けてくれるし、頭を撫でてくれるんだ。優しく笑って「津軽」って俺を呼んでくれるのに。



「しずお、ないてるの」

「大丈夫だから、心配かけてごめんな…津軽」



弱々しく笑う静雄の頭を撫でても静雄の目からは涙が溢れている。どうして静雄ばっかり泣かなくちゃいけないの?静雄が何をしたって言うんだよ。悲しい、哀しい、悔しい。

嫌だ、静雄の泣いてる顔なんてみたくない。いつもみたいに笑って頭を撫でてよ、ねぇ、どうして、どうしてなの。



どうして俺には、静雄の涙を止めてあげられないんだ。











一番近くて一番遠い
(埋められない距離)