・きゅうきゅいとイザシズ
・ナチュラルにみんな同居
・なんかもうカオス






どうしてこうなったんだろうか。
俺は自宅の風呂場の浴槽に浸かりながらぼんやりと水面を見詰める。俺の前には湯気に包まれた白くて艶やかな肌は少し朱くなっていて、水分を含んだ髪の毛は肌に張り付いていて、そう、それはまるで幼い子供のようで、実際に幼い子供だった。




「しずちゃん!このあひるだけおっきいよ!カッコいい!」

「それはたいちょうだからな」




…本当に、どうしてこうなったんだろう。
どうせ一緒にお風呂ならシズちゃんと入りたかったのに、このちびっこ共を風呂に入れろとシズちゃんから言われたからとはいえ、浴槽に俺とシズちゃんにそっくりな小さな子供達と俺の三人で入っている姿は我ながらかなりシュールな絵面だと思う。

ぎゃあぎゃあ騒ぐちびっこを風呂に入れるのは一苦労だ。成る程、育児ノイローゼというのはこうした物の積み重なりからなるのだろうな…、リラックス出来る筈の風呂が戦場だ。我が子を小さな怪獣だと称す人の気持ちがよくわかる。
当の怪獣二人は風呂から出たら直ぐにアイスを食べている、…腹壊すんじゃないだろうか。シズちゃんがその濡れたままの髪の毛を拭いてやってるのは別に羨ましくない。壊すことしかしないシズちゃんが優しく触れてる二人を、…ちょっとくらい羨ましいとは思うけれど。

ソファーに項垂れるように座るとシズちゃんが麦茶を差し出してくれた。火照った身体に水分が染み渡る。疲労感も少し回復されたみたいだ。



「そんなに疲れるものか?」

「ならシズちゃんが一緒に入ってよ…アイツら騒がしいんだよ…」

「……ぷっ」

「…何さ?」

「いや、何か…お前が子守りって似合わねえっていうか何て言うか…くくっ」



何が可笑しいのか笑い出すシズちゃんは、意外と面倒見良いんだな、まぁあの双子が下に居るし当然か。と勝手に納得して、既に眠る準備に入った二人の元へ行く。その表情は凄く柔らかくて優しくて…………あぁ、そうか。



「ちゃんとパパ出来てたでしょ?ママ?」

「な……っ!?」

「ちびっこはもう寝る時間だしね、子作りでもしようか?」



真っ赤になってる可愛らしいママにキスをしよう。こんな家族なら悪くないかもしれないね、なんて小さく笑った。










しあわせかぞく
(ひとつの愛の形)