・来神時代捏造
・外伝小説5巻ネタバレ
何気ない話だった。
世間話や本の話をする中で、たまたま家族の話になった。そこに何の深い意味などなく、単なる世間話の延長に過ぎないはずだった、のに。
「……え…」
「世話焼きってヤツなんだよな」
笑っちまうよなー、と言いながらも少しだけ照れているような門田に対して、身体の芯から冷えていくような感覚に陥った。
意外な所で繋がる点と点。
幼かった俺には分からなかったし、疑問も抱かなかった。己が感情に任せて壊した後、それを修復する人間がいる事。確かに認識はしていたが、それは怪我であったり、物理的なものであって、人同士の"関係"とかは考えたこともなくて。
恐らく初恋だったであろう彼女を助けたくても、助けるどころか傷付けた。そして彼女だけじゃなかった。この、目の前で笑う彼の父親も。
直接でなくても、俺のせいで。
門田の顔を見ることが出来なくて、俺は図書室を飛び出した。
昔からそうだった。
大切な人だけじゃなくて、関わる全てを壊してしまう俺なんて、本当は。
「……いらねぇんだ…っ」
想い人の隣に居る事さえも、罪になるんだろう。そんな俺に、存在する意味なんてあるんだろうか。
俺の力には、俺には…、意味なんて、あるんだろうか。
「いらなくなんかねぇだろ」
何で、追いかけて来たんだよ。
世話焼きって、父親の事言ってたけどお前も相当じゃねえか。
「悪かったな…。俺の親父の事で、嫌なこと思い出したんだろ?」
「………門、田…?」
「……お前だって親父と同じだよ、あの人を助けようとしたんだろ?」
だから泣くなよ、と言われて初めて自分の頬に伝う滴に気づいて。
どうしてお前は知ってるんだよ、知ってて尚欲しい言葉をくれるんだろうか。
褒めて欲しかった訳じゃない。最終的には傷付けてしまったけど、助けたかったんだって、理解してくれなくていいと思っていたのに。
「お前は偉いよ、静雄」
優しく撫でる大きな手が暖かくて、涙が止まらなくなった。なぁ、高望みはしないから、その父親譲りに世話焼きなお前の友人の一人してで良いから。
隣に居ても良いですか
(繋がる点と点と線)
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