・これと微妙にリンク
この広い電子と数字とプログラムに構成された空間に新入りがやってきた。俺より新しい型番で、性能や操作性も格段に上がった新型だ。
つまり古い俺は任務終了で、きっと2・3日中にアンインストールされてしまうんだろうと思っていた。だけどあの人はそれをしなかった。得意ジャンルが違うから、らしい。よく分からないが俺も、友達と言うよりは弟が出来たようで「うれしい」と思った。
新型のサイケは俺にないものばかり持っていて、時々それでもやもやした。それをヒトの世界では「うらやましい」というものなのかもしれない。
でも俺は、俺達は人ではないから、旧型の俺には新型のサイケの「キモチ」は分からないから。
「つがる、つがる。すき、すき、あいしてるんだ」
「………」
「つがるにはわからなくてもね、おれはつがるのキモチもわかるんだよ、つがるもおれとおんなじキモチなの」
そう言いながら嬉しそうに笑ってサイケは俺を抱き締めてくる。
俺は、知らない。
このもやもやしたものが「キモチ」がなのかどうかも、「スキ」も「アイ」も。
俺は、知らなかったから。
だからどうすればいいか分からない。
致命的なバグが起きてしまったのだろうか。だって、こんな、おかしい。
サイケとずっと一緒にいたい、なんて。
旧型の俺にサイケに対するプログラムは一切ないはずなのに、どうして、どうして、どうして、
はやくあの人に言わなくちゃ、そしたらサイケともお別れで、あぁ、でもそれは「いや」だよ、どうして、どうして、どうし、たら
「………サイケ、ごめん、ごめん、なさい………」
「つがる」
「サイケ、ごめん、ごめ……っ」
サイケにもうあえないって思うと胸がざわざわする、「こわい」、「こわい」…
蹲って震える情けない俺にサイケは少しだけ考えていた。サイケは、これが何なのか知っているんだろうか。なぁ、サイケは、俺の、ことを………
「つがる違うよ、そういうときはね、ごめんなさいじゃないよ」
ありがとう。って言うんだよ、と笑いながら抱き着いてきたサイケにあれだけ煩かったものが全てなくなった。
あぁ、サイケが笑ってる。今サイケは「うれしい」のかな?俺もサイケが「うれしい」なら、それが「うれしい」よ。「アイ」はまだ分からないけど、これだけは確実なんだ。
そして、俺のバグはもう。
Ctrl+Zでも戻れない
(生まれた気持ち)
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