折原臨也という人物は歪んでいる。
彼は他人の歪み移ろう感情を観察している節があるが、私から見ればそんな風に傍観者を気取って悪戯に楽しんでいる折原臨也が一番歪んでいる。

仕事以外ではあまり関わり合いたくないタイプの人間だが、恋人や友人の昔馴染みであるからそれなりに関わることは多くて。それでもあまり好ましくないタイプなのには変わりはない。


この男の人間に対する愛とやらも、一人の男に対する執着心に似た何かも私には理解し難いものばかりだから。



『そんなに嫌いならば、相手をしなければ良いんじゃないのか?』

「運び屋はバカだなぁ、あんな面白いヤツ、俺が手放す訳ないじゃん」

『…どういう事だ?嫌いなんだろ?』

「知ってるかい?人の間ではそれもまた愛って呼ぶんだよ」



まぁ君の世界じゃ違うかも知れないけどね。と笑いながら去っていく男を引き留める声を私は持っていない、別に引き留める気もなかったけれど。



―好きと嫌いは表裏一体だからね、嫌いって事は嫌いになるくらい相手を知ってるって事なんだよ



いつぞやに新羅がそんな事を言っていたような記憶はある。
ただ、彼の云う愛を今の私には理解することが困難な事には変わりなくて、彼の執着の先に居る友人の事を考えて少しだけ気分が重くなった。










執着の終着に
(愛はあった)