千年もの時を生きてきた魔女と、人間達の知恵比べ。
俺がもしも魔女の立場ならば似たような暇潰しをするんだろうな。




現に俺も退屈なんだ。


ベランダからぼんやりと空を眺めても、晴れているくせに星が見つかりはしない。これだと朝は雨が降るのかな、そんなどうでも良い事をパソコンの画面を真剣に見詰める男に視線を移しながら思う。



「…シズちゃーん、俺、つまんないんだけどー」



人の家にいきなり上がり込んで何かと思ったらパソコン貸せゲームやらせろ。とは随分酷いと思うな。仮にも俺たちは恋人同士なのに。



「んー…ああ…うん」



ダメだ、聞いてない。
これで無理矢理邪魔したらキレるんだろうなぁ。さっきまでは廃校に閉じ込められるホラーゲームをやっていたからまだ怯えるシズちゃんを見て楽しめたけど、推理ゲームになると話は変わる。画面の世界に旅立ったシズちゃんを此方の世界に戻すのは難しい。でも俺は暇だ。
どうしようかなと考えていたらぽつりとシズちゃんが言葉を溢した。



「………………何か、こいつらって…あれだな……誰かを愛してても、本当に大事な部分が相手に伝わってないよな」

「そうかもね…」

「お前はアレだ。確実に魔女側だな」

「どういう意味さ」



まぁ確かに性格は良くないし、自分でも彼方側の思考寄りなのは認めるけど、それを他人に言われるのはあまりいい気分ではないな。それがシズちゃんでも。



「さぁな。愛がないと視えないんだぜ、臨也くん?」



悪戯っ子みたいに楽しそうに笑うシズちゃんの顔を直視できなくて、それでも何でもないように返事をして外の景色に顔を向ける俺に少しだけ不思議そうにしていたけど、シズちゃんはすぐに画面の向こうの世界に戻った。ちょっと癪だけど、今はそれどころじゃない。
狡い、あの笑顔と台詞で不意打ちなんて狡すぎる。速くなる心臓の動きを治めようと空を仰ぎみた、ら。



「……………あ」



さっきは見付けられなかった星が、綺麗に光っていた。










キラキラ光る、瞬く
(俺たちの愛のカタチ)