・静雄小6くらい
・メンタル色強め
・臨也さんきもやか






分かってる、俺はみんなとは違うんだ。
俺の奇妙で異常な体質を知れば、みんな離れていくんだ。差しのべられた手はいつだって震えていて、その手を取ることは禁忌のように思えた。


「こんにちは、平和島静雄くん」

「…誰だお前」


俺の目の前に立っている真っ黒な男は俺の名前を呼んだが、見覚えがない。

「そんなに警戒しなくてもいいじゃん、俺は折原臨也」

「イザヤ…変な名前だな」

「酷いなぁ、俺の両親が折角つけてくれた名前なんだよ?」

「…それで、何のようだ」
「君と話がしたくて」

にっこりと人の良さそうな笑顔を貼り付けたイザヤが未知の生物みたいに見えた。目の前の男の考える事が理解出来ない。いや、他人の考えなんて分かるわけがない。
(ましてや普通じゃない俺だから)



「いやだ」

「えー、即答なの?今時の子どもって意外と辛辣だなぁ」

「…なんで俺なんかと話したいんだ」


俺の名前を知っているなら、俺の事を知っているんだろう。破壊神、悪魔の子、触れれば怪我じゃ済まない―、「平和島静雄」を知っているんだろう。


「泣いてたから」

「いや、違うな。君は泣いてないけど君の心が泣いてたから。君が何かを壊す度に君の心が泣いてるから」


何を言っているんだ。こいつは。
分からない、分からない、だって俺は泣いてなんかいない。俺のせいで壊してしまったんだから、俺に泣く権利なんてないんだ、から。


「怖く…ないのか」

「何が?」

「知ってるんだろ、俺が、人も物も全部壊すこと」


そうだ、冷蔵庫も学校の机も教卓もロッカーも標識も、恐らくきっと初恋の人も、全部俺が壊したんだ。


「別に?それに、怖がってるのはシズちゃん、君なんじゃないかな?」

「…なんだよ、それ」

「壊す事と傷付ける事―…離れていく、事かな。ねぇ、壊れた物も怪我も治るけど、心は治せないんだよ?」

「…なにが言いたい」

「君が壊しているのは君の心って事」



そんなこと、ない。俺は強くならなくちゃいけないんだ。このどうしようもない暴力を抑えられる位の強さがないと、俺は。
気が付いたら頬に生暖かい感覚がした。ああ、いつぶりだろう、涙を流したのは。


「知ってる?泣きたいときに泣くのも強さの一つなんだよ?」

「う…っ、うる、せぇ…っ」


「ねぇ、シズちゃん、俺と友達になってくれない?」



差しのべられた手は震えていなくて、暖かかった。




















お友達から始めましょう
(でもその呼び方はやめろ)