Keine Lust
夏バテするほど何かをしたわけじゃないのに体がダルいのは何故だろう。
授業を聞く気にもなれずにゴロゴロ冷たいコンクリートの上に転がってただただ天を仰ぐ。
「いー天気だあ…」
「そーかもしれへんけど感心せんなあ」
「……忍足?」
何とも言えないエロちっくボイスで分かった声の主。私は思わず起き上がって座り直した。
気付かなかったけど「よっ」と手を挙げた忍足はどうやら先客で私とはドアを挟んだ反対側に居たらしい。
片手に雑誌とジュースを持ってることからサボる気満々で此処を選んでいたよう。
「感心しないのは忍足も同じじゃん」
「いやいや、サボるは自由やで。そうやのうてその辺に転がるんはどうかと」
「あー…確かに」
制服でゴロゴロするとスカートにしわが付くし、下手に風でも吹かれるとめくれちゃう危険があったなあ…
こんなことならジャージ持ってくれば良かった、と反省すれば「問題はそこやない」と言われた。
だったら何が問題なんだよ、と言いたかったけどもう色々面倒なんで止めた。そもそも何もしたくて此処に来たわけだし。
あー…本当にやる気出ないなあ。これって秋が来ちゃってる所為かな?
秋と言えば色んな秋があるけど「やる気ない秋」なんて言葉は無かったと思うけどなあ。
「ねえねえ忍足ー」
「何や」
気付いたら隣で肩を並べてる忍足にふと声を掛ければ返事が来る。
雑誌を読んでるから随分そっけないけど返事があっただけ良しとしようと思う。
「何かさー物凄くダルい」
「あー…生理か?」
「違うし。そういうんじゃなくて何もしたくないカンジ」
「ほんで?」
「どうしたらいいかなーって思って」
やる気スイッチとか本当にあるなら押してもらうのが手っ取り早いけどそんなのないし。
どうにか自分でやる気出せよって話なら、そういう気がないから聞いてるだけで堂々巡りになる。
とにかく無気力になった自分はどうにかしたいけど何かこう…ねえ。
「どうもせんでええんとちゃう」
「んーどうもせんでええならどうもしたくない」
「ほなら聞くなや」
「いや、ほら、一応考えるわけですよ」
出来たらなーんもしたくない。だけど生きてるからには何かはしておかなきゃいけないみたいな。
でもやる気が出なくてなーんもしたくないからどうすっかなーみたいなアバウトな状態。
……つまり、色々定まらないことに微妙な感情が沸くわけです。
と、忍足にぶちぶち愚痴ってれば軽く溜め息を吐いてこう言う。
「とりあえず解決せんネタなら今は寝とき」
「寝る?」
「寝とる間に頭が勝手に整理してくれる時もあるで」
そんなもんなのかしら、とまた考える。だけど、
「次の休み時間には起こしたるから」と言ってくれたのでそれらを信じて目を閉じた。
「雑記」に置く予定にしていた話。
秋は何故だかダルくなるという集計結果(近距離調べ)にて。
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