これで終わりにしたくないから

馬鹿なことしてる自覚はあるんや。
けどよう言えへんからずっと駆け引きをしとる。いや、しとるつもりなのかもしれへん。俺だけがじたばたと、たった一人で相撲しとるだけ。それも何となく気付いとる。

ただの一回でええから...と思えば思うほどに意地になりおる自分。
もしかしたら...と自分を棚に上げときながら不安になりおる自分。

何があっても普段通りの彼女は表情一つ曇らせんと俺をあしらう日々。
そもそもの始まりはおれやなかった。向こうやった。なのに情緒不安定なのはおれの方。変わらぬ笑顔が憎いとか、そんなん思いたない。

「こないだは偶然やったな」
「本当。たまたま買い物してたんだ」
「せやったんか。あの辺、かわええ雑貨屋多いもんなあ」
「そうなんだよね。こないだもイイ店見つけたんだ」
「さよか。ほな今度一緒に行ってみよか」

「時間が合えばね(時間が合えば、やろ?)」

合わない時間、合わせる時間。
どちらかが歩み寄らん限りは実現せんて...俺らは分かっとる。せやけど...何でやろ。阿呆なんやろな。それでもな、お前はこれで終わりにしたりせえへんし、俺かてこれで終わりにしたらんさかいな。


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