それはきっと


ああ、またか―…。


「アツヤ、どうして邪魔するんだ」
『こんなことして何になるんだよ、馬鹿かお前』


―何になるって?
こうすれば父さんにも母さんにも…、アツヤにも会えるでしょ?

なのにどうして会わせてくれないの?


自分の行動を邪魔された苛立ちに、僕は右手に持ったカッターの刃を出し入れする。

もうこれで何度目か―。


どうして邪魔するんだ、どうして、どうして―。


『別に、あいつらにはいつか会えるだろ』
「いつか?いつかっていつ?そんな先の話されても困るよ。僕は今生きてるんだ。僕は今がつらいんだ」


そう、だから今すぐみんなに会わせて―。
そしたら戻れるでしょ?
昔みたいな幸せに。



『俺がいるだろ』
「―…。」


『アツヤ』は本物のアツヤじゃない。
僕にとって『アツヤ』もすごく大切だけど―、僕の心が本当に求めているのはいつだって本物のアツヤなんだ。



―じゃあ『アツヤ』は何なの?



その答えはとても残酷で、



(ただのアツヤの代わりだろ?)



そして真理だった。



だったら『アツヤ』は―…。

永遠に繰り返される疑問。
いくら考えたってそれが本当の答えだと思えなかった。


本当に『アツヤ』はただの代わりなの?
だって『アツヤ』はもう―。



『どうでもいいこと考えんな、士郎』
「………」



ねえ、どうして『アツヤ』は僕を生かそうとするの?


僕の心が救われることはないよ。
だって僕がそう望んでいるから。


誰も僕の心に入ってこないで、
僕のアツヤとの思い出を消さないで。


僕は前に進むのが怖い。
いつもアツヤと一緒だったのに、今は僕は独りだ。
アツヤがいないなら、僕は先に進まない。
アツヤを置いていくなんてできない。


僕の心はずっとあの北ヶ峰に留まっている。
アツヤと一緒に―。

ずっとずっとずっとずっと。



「僕にはアツヤが必要だったんだ」

―いや、必要なんだ。


僕は何度目か分からないその言葉を呟く。



それが『アツヤ』をどれだけ追い詰めているかも知らず、
『アツヤ』の優しさにも気付かずに―。



『俺は士郎、お前に…』


そこで言葉が切れる。






『アツヤ』が何なのか、それは…僕の望みを叶えてくれる存在。






誰よりも生を望んでいたのは僕だった。



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久しぶりに自分の文の書き方で書いたら意味不明になりました。


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