「サスケ、聞いて!今日香燐ちゃんがさあっ、」
オレの横で楽しそうに、今日1日あった事を話すなまえ。
アジトへの帰り道、夕日を背にして歩いていく。
オレに同意を求めようとしているのか話に夢中になっているのかは知らないが、前を向かずにオレの顔ばかりを見て歩いているコイツ。
そのうち転んでも知らねェからな。
「なまえ、少しは前を向いて歩け。転ぶぞ。」
「うん。…で、サスケはズバリどう思う?香燐ちゃんとあたしの作ったお好み焼きについて!」
「……どうって。」
オレの忠告を左から右へ流したなまえ。ああもう本当に転んでも知らねェ。
そういや香燐はお好み焼きが好きで、良くなまえと焼いて食っている。
オレも何度か水月と重吾とで頂戴した事もある。不味くはなかった。
しかし、この前はちょうどお好み焼きの粉が切れていて、代わりとホットケーキを焼いていた事があった。そこまでならいい。しかし二人はそれにエビだのイカだの入れていた。それを差し出された時はもう何も言えなくなった。
そんな事を思い出し、返答に困っていると突然なまえがよろめいた。
「お…っと。」
「ば…っ!」
だから言わんこっちゃねェ、ウスラトンカチが。
バランスを崩してゆらゆらしているバカなまえの身体に、後ろから手を回してがしっと支える。
その時に何だか両掌に柔らかい感触があったが、今はそれが何であるかなど考える暇は無かった。
「おい、大丈夫か?」
「ありがとう、サスケ…………っうわ。」
みるみるうちになまえの顔からへらへらした笑顔が消えていく。
「サスケくん、」
「あ?」
「ありがとうと言いたいところなんだけど……サスケ、何処触って…っ!」
その言葉に恐る恐るオレは自分の手のある位置を確認する。
そしてその瞬間、バッとなまえの身体から回していた手を離した。
…これはまずい。さっきの感触はこいつの胸だったのか。つうか意外とあるんだな、見直したぜ。
いや、今はそんな悠長な事を言っていられない。
「……な、オレは…!」
必死に弁解しようと試みるが、時既に遅し。顔を真っ赤にしたなまえが、オレに平手打ちを食らわそうとした。
「エロサスケェ!!」
交わしたつもりが、少しかすった。
それに余計にイラッときたらしく、平手を拳に変えて向かってくるなまえ。
「悪かった。すまない。…許せコラ!」
「いやだいやだ帰ったらマダラさんに言いつけてやる!」
「なんでマダラが出てくる。」
「知らないーッ!」
それからなまえの攻撃を交わし続けると、疲れたのかもう向かってこなくなった。
二人無言でアジトへの道を歩く。
ついに耐えかねてオレはなまえに話しかけた。
「おい、さっきは…、」
「スキありィィ!!」
振り返ったなまえは、ばっちんと盛大な音を立てて、勢いよくオレの頬を平手で叩いた。拳じゃなくてよかった。
「……ってェ。」
「これでよし。」
なまえは今下らない達成感で満たされているのだろうきっと。オレには胸を触られた女の気持ちなんてのはいまいち良く分からねェ。
だが、これだけは言える。
「あれは不可抗力ってやつだ、ウスラトンカチ。」
転んだら危ないと思って支えていたんですあとがき
1万打お礼夢第1弾はサスケくんで。
なんだか少しヘタレなサスケくんだ。
"ウスラトンカチ"まじ名言。
…と、こんな感じであと4題書いていきます。
1万打ありがとう\(^^)/