七万打企画リクエスト夢
「あ!アマイモンくん、今日も遊びに来たんだね!」
「ハイ。お菓子を食べに来ました。」
「ふふ、アマイモンくんたら。」
「いえ、それはついでであって、本当はナマエに会いに来ました。」
「……あ、アマイモンくんたら…!」
「ハァ……お前らは。」
こんな茶番をここ数日何度目の前で繰り広げられたことか。虚無界から呼びつけた私の弟はどうやら私の妻を気に入ったらしい。頼んだ仕事もろくにやらず、毎日ナマエのところへ会いにきている。しかも今のように安い口説き文句をナマエに囁く始末。だがナマエもナマエだ。私という者が目の前に在りながら、よくもまあこんなに暢気にやれたものだ。この積もりに積もった不愉快を何処へぶつけてやろうか。ああ、格闘ゲームで発散しようではないか。ここはアマイモンをぶん殴ってやりたいが、妻であるナマエがいる手前、そんな真似はできない。なんたって紳士であるから。
「あ、そうだ!昨日ね、取り寄せていた冬季限定のイチゴロールケーキが届いたんだけど、アマイモンくんは食べる?」
「ハイ。頂きます。」
「だよねー!メフィストー、メフィストも食べ……あれ?メフィストったらどうしてそんなに不機嫌そうなの?」
デスクに頬杖をついて2人の様子をしばらく眺めていたら、だんだん苛立ちが抑えきれなくなってくる。何だかゲームをやる気さえ起きなくなってきた。これはかなり重症なのではないか。そんな中、ナマエが悪意などこれっぽっちも感じさせない笑顔で私のことを呼んだ。ナマエにかまってもらえて嬉しい、だなんて子どものような思いが頭の隅の方にあったが、それよりも無自覚なナマエをどうにかしなければならないという衝動の方が大きかった。
「そうですね。ぜひ頂きましょう…と言いたいところですが、ナマエ、少しこちらへ来なさい。」
「何で?今アマイモンにケーキ切ってあげなくちゃ…、」
「アマイモンなど放って置いて良いですから、さあ早く。」
ナマエが眉間に皺を寄せ困ったような表情をしながら私の元へと歩みよってくる。私の目の前に立った直後、パチン☆と指を鳴らして、別室へとナマエを移す。
「さてと、」
「……あ、あれ!?」
ナマエは一瞬で違う部屋と移動してしまった為、かなり吃驚していた。ここは私とナマエの寝室。ナマエと私の背後にはいつものダブルベッド。私は紳士であるから、昼間から妻といかがわしいことなどはしまいと考えていたが、ナマエには今すぐ自分が誰のものなのか教え込む必要があると判断し……まあやむを得ない。
「……やッ!」
何も言わずにナマエをベッドへ押し倒す。そうしてその上へと乗り、一度噛み付くようにナマエの唇を奪った。ナマエに肩を押され、無理矢理しようとすればできたところを仕方なく唇を離れる。
「はッ…!メ、フィスト…やめて、よ!」
「嫌です。だって今この腕を離してしまったら、ナマエはアマイモンにケーキを出す為に彼の元に戻ってしまうでしょう?」
「当たり前じゃない。アマイモンくん待たせてるのに…。」
「ナマエはアマイモンが好きなのですか?」
「そりゃあ可愛いしね…って、別に異性としてではなく義弟(おとうと)として、だからね!」
「なるほどそれは安心しました。しかしあちらはきっと本気ですよ。…全くナマエは私の妻だと何回アイツに言い聞かせても、聞きやしない。」
「メフィストがやきもち妬いてる…新鮮!」
「ほう、新鮮ですと?私はいつだって貴女の周りにいる男に注意を払っているのですからいつも妬きっぱなしです、全く!」
「アマイモンはメフィストの弟じゃないのー。」
「だからこそです!」
「弟や妹は、お兄ちゃんやお姉ちゃんの持ってるもの程欲しがるってものだよ。」
「ナマエはおバカさんですか?ナマエは私のものですから、そんなことでは困ります。」
確かにアマイモンは私の食べているお菓子をよく欲しがる。私がプレイしているゲームを横取りする。ナマエのいう通り、兄が持っているものは弟は欲しいものなのかもしれない。だが、しかし…!
「それじゃあ以後気を付けますっと…メフィストもケーキ一緒に食べよ、ね?」
ナマエは私に押し倒されたまま、そう言った。少し、言い過ぎてしまっただろうか。しかしこれはナマエを想うが故のことであって…。
「………ナマエ、」
「あっ…なに、もうっ!」
ナマエの耳に顔を寄せ、耳たぶを甘噛みすると、やや色づいた声が聞こた。ナマエの弱いところを知っているのも私一人で十分だ。くすぐったそうにふにゃふにゃと笑うナマエを抱き締める。
「大丈夫だよ、メフィスト。何たって私は貴女の奥さんなんだからね!」
それを聞いたら、妙に安心してまた強くナマエを抱き締めた。アマイモンは、きっと今頃指をくわえて待っているのだろうな。
唯一無二へと沈み陽炎あとがき
七万打企画リクエストのアマイモンといちゃつくヒロインに妬いちゃうメフィストさんでした。独占欲強いのって素敵。メフィストさんはそういうところ絶対あるんじゃないかしらと!
リクエストありがとうございました!