街中がクリスマスの色と雰囲気に包まれ、自然とそれに乗るように私も気分が上がってくる。今日はクリスマスイブ。今年は大好きなサスケくんと一緒に過ごすことになっている。張り切ってケーキを作ってみちゃおうかなぁなんて思って、買い物へと出かける。昼前から降りだした雪も、いよいよ本降りになってきて肉眼でも雪の結晶が見えるんじゃないかというくらい手のひらに落ちてきた雪は大粒だった。
そういえば去年のクリスマスは一人虚しく、クリスマス特番を見ながら市販のケーキを食べたっけ。この時はまだサスケくんとは知り合う前で…なんだかそう思うとサスケくんと出会ったことが夢みたいだ。偶然は、必然だったのかな、とらしくない難しいこと考えてみる。
買い物を済ませ、家へ帰り早速ケーキ作りに取りかかる。ケーキは当日に作るより、前日に作った方が味が馴染んで美味しいとサスケくんが教えてくれたというのに、いろいろやっているうちに結局今日になってしまった。教えてくれた時に、サスケくんは甘いものは苦手なはずなのに何で詳しいの?と聞いたら、サスケくんのお兄さんが甘いものに目がなくてサスケくんがクリスマスには毎年ケーキを焼いていた、と何故か恥ずかしそうに教えてくれた。そうしたら初挑戦の私なんかより、ずっとケーキ作るの上手いはず…失敗できないじゃんか。そんなことを考えていたら自然とハンドミキサーを握る手に力が入っていた。
数時間後、目の前にはデコレーションされたクリスマスケーキ。サンタの砂糖菓子を乗せて、出来上がり。初めて作ったケーキは、予想以上にうまくできた。サスケくんのことを考えて生クリームの甘さを控えた。途中でサスケくんを想うあまりに、イチゴの変わりにミニトマトを危うく乗せてしまいそうになった。サスケくん、喜んでくれるかなあ。
今度は自分をデコレーションしなきゃ!なんて我ながら上手いことを言ったと思いつつ、赤と緑のクリスマスカラーのネイルを手に取る。お料理は結構得意だったりするけれど、実はメイクは余り得意じゃない。ネイル一つ塗るのも、手が震えちゃってなかなか上手くいかない。っていうのは、サスケくんに綺麗だって褒められるところを夢見ちゃうからであって……いや、これは言い訳だったりするけれども。
四苦八苦していた時、携帯がメールを受信したことを私に知らせた。ディスプレイを見てみると、サスケくんの名前。わくわくしながら携帯を開くと同時に、玄関のドアが開いた。びくりとして携帯そっちのけで玄関の方を見てみるとサスケくんが立っていた。
「あれ、今メール…、」
「メールは、今いくから鍵開けておけっていう話だったが…お前いつも鍵開けたままなのか?」
サスケくんは携帯を持ったままぽかんと口を開けていた私に、眉をしかめた。
「無防備にも程があるぞ。気を付けろよ、何かと物騒だからな。」
怒られてしまった私は少し落ち込んだが、すぐに立ち直る。サスケくんの言葉は一見すごく冷たくてキツく感じる。しかしこれは心から私のことを心配してくれているからこそだ、といつしか気づいた時からサスケくんが前よりももっと素敵に見えた。
部屋にサスケくんが上がってくると、何をしているんだと聞かれ、苦労のほどを伝えた。
「普段しねぇことを見栄張ってしようとするからだろ。」
「いやでもせっかくのクリスマスだし………うぅんごもっともです。」
「貸せ。オレが塗ってやる。」
「え、でも…。」
サスケくんが直々に私の爪にマニキュアを塗ってくれるというので、手汗が一気に出てきた。き、緊張するんだけど。しかも私が用意していた色を無視してサスケくん自ら色までチョイスしてくれてる。サスケくんが選んで塗ってくれようとしているのは、まるで太陽に照らされて反射する雪のようにキラキラとしたラメの入っているホワイト系のものだった。サスケくんが何を思い、この色にしたのかは聞いても照れて教えてくれないだろうから勝手に自分で想像しちゃったりするんだからね。
サスケくんにいろいろ皮肉まじりに言われながらもメイクのお手伝いをしてもらっていたら、あっという間に時間は過ぎていった。
辺りはもう薄暗くなってきた。部屋にあるツリーのイルミネーションをつけたら、楽しいサスケくんとのクリスマスが始まるの。
To Be Continued...
メトロノームの深呼吸あとがき
みなさんメリクリ!
サスケくんとクリスマス、続きます。