※グロテスク描写要注意
霧野くんが死んだ夢を見た。目の前で、突然倒れて、砂みたいにさらさらに崩れて、消えちゃったんだ。そしてその瞬間、あ、これ、なんだか夢みたいなんて思ったら、そうだ夢だったんだって思って目覚めた。あまり気分の晴れない朝。だるい身体を無理やり動かし、家を出る。
「おはよう、ナマエ。」
さっき一度夢で死んだ霧野くんが、後ろから話かけてきた。学校への道を彼と共に歩いていく。今日は何だかさっきから笑ってばかりの霧野くんは大分ご機嫌のようだった。まさか、霧野くんに、霧野が死んだ夢を見たよなんて言えないから朝のしっとりと冷たい空気をひたすら肺に詰め込んでいた。いつもと変わらない、朝。
霧野くんが突然こんなことを言い出す。
「赤いんだ、綺麗だよな。バラバラで、すごくおいしくて、はは。」
霧野くんが笑いながら言ってたから、嬉しい話とか面白い話かと思って、分かったふりをしながらうんうん頷いてた。どうやら、夢の話らしい。でもよく分からないから、怖かった。何が赤くてバラバラなんだろう。
そうしてその日の夜、私は霧野くんに食べられた。首を締められて、もう心臓の意味が無くなった頃、お風呂に連れて行かれた。ぶらんぶらん、手足が力無く霧野くんの腕の中で揺れる。綺麗に洗われると、身体を切り裂かれた。でももう●んじゃってるから痛くない。霧野くんは最初に、私の手と足を切り離した。それらをお湯が溜まった浴槽に浮かべると嬉しそうににこりと笑った。それから、胃や腸を引きずりだしてきて、血が取れるまでしっかり中まで洗ってくれた。脳味噌や眼球も丁寧にくり貫いて、私の身体はあと少しで空っぽになる。霧野くんは最後に、心臓を取り出して愛しそうに頬擦りをした。ずちゃずちゃ音を立てながら、真っ赤な手でそれを包み込んでいる。相当気に入ったらしく、いつまでも血を洗い流そうとせず、しばらく私の心臓を抱き締めたままでいる霧野くん。ゆらゆらゆらゆら。誰かさんの赤い液体でピンクになった浴槽で行き場を失った手足や夥(おびただ)しい数の臓器は無重力に委されダンスしているかのようだ。
「愛してるよ。ははっ、可愛いな、ナマエ。」
霧野くんは満足したようにバラバラになった私を両手いっぱいに抱き締めていた。
ぞんざいな切り花のように刈り、愛で、枯らすのだろうあとがき
こういう意味の分からないのが書きたいときがある。