※百合
しえみ×ヒロイン




やめてやめてしえみちゃんはこんな人じゃなかったでしょ。いっつも可愛い笑顔でお話してくれて、塾も一生懸命で、私の大切なお友達だったのに。うぅん、"だった"じゃなくて、お友達なのに!どうして、こうなっちゃうの。

「ねぇナマエちゃん、一口だけでも良いから飲んでみて。私の自信作なの。お薬の調合、お母さんから教わったんだよ。」

「やだやだやだやだ!!私知ってるんだからねっ、それにしえみちゃんが鳥兜入れたこと!それを私に飲ませてどうしようって言うの!?」

しえみちゃんはいつもの可愛い笑顔のはずなのに、放つ雰囲気がいつもと違う。しえみちゃんが纏うものは、明るく可憐な彼女にとても似つかわしくない、狂気。

「せっかくのお薬、ナマエちゃんの為に作ったのに。そんなこと言わないで飲んでみて。」

「どうしてこんなことするの!!友達、でしょ!?」

しえみちゃんは私の口にお手製の毒薬を飲ませようと必死に私にしがみついてくる。

「お友達、じゃ嫌なの。私、ナマエちゃんのこと大好きなんだよ。愛してるんだよ。あっ、そうだ!私思いついちゃった。一緒に飲めば怖くないよね。そうしてナマエちゃんと私しかいない世界に行こう?」

とびきり素敵な笑顔で私に向かってそう言ったしえみちゃんは、恋する瞳。本当は、ナマエちゃんを殺したあとに私も死のうって思ってたんだけどね、なんてしえみちゃんは笑っていうけど、なにそれ全然笑えないよ。

「ナマエちゃんはずぅっとずぅっと私のそばにいてね。だぁいすき!」

しえみちゃんはそう言って毒薬を自らの口に含み、唖然とする私にキスをした。咄嗟に拒んだものの、毒薬は舌の上でくるくるしてから喉の奥の方に吸い込まれていった。

ふらふら、ぐるぐる。
目の前が歪んでしえみちゃんも歪んで倒れて、私もそこから先どうなったか分からないんだ。