■ チョコレート ■

※注意 文月様リクエスト/きどふど/愛ある鬼畜/鬼道も不動も帝国学園生


「なんだよ、不動のクセに結構もらってんじゃん」
 ニヤニヤしながら不動の肩を叩く佐久間。
 そんな不動の両手には大きな紙袋。
 どちらも溢れんばかりのチョコレートがひしめいていた。
「うっせぇ、糞佐久間。クセにって何だ、クセにって」
 不動は面倒くさそうにそう答えて部室のロッカーの中にチョコーレートを押し込んだ。
 そう、今日は二月十四日。バレンタインデーである。
 基本的に、帝国学園サッカー部の面々はモテる。とにかくモテる。
 女子という生き物は根本的にミーハーである。フットボールフロンティアで無敗を貫いてきた強豪校のサッカー部レギュラーという箔は伊達ではなかった。
 鬼道を筆頭に、佐久間、源田、もちろん不動。そしてあの、五条や万丈ですら例外ではない。
 貰う量に差は出るものの、一つも貰わないという人間はいなかった。
「しっかし、今年も源田はすごい量だな。つか、お前男子からも貰ってなかったか」
 佐久間は源田が貰ったチョコレートの山をしげしげと眺めながら問いかける。
「あぁ、貰ったぞ。これが友チョコってやつなんだろう?」
 へらりと笑ってそう返す源田。辺見はいたたまれない表情を浮かべ源田の肩を叩いた。
「源田、多分それは違うと思うぜ」
「辺見、こいつがそう思ってるならそれでいいんだ。みなまで言うな」
 佐久間も同様の表情を浮かべため息をつく。
 当の本人だけが頭の上に疑問符を浮かべ小首をかしげていた。
 さて、そんなバレンタインデー話に盛り上がる部室の中、唯一沈黙を守る鬼道。
 些か不機嫌そうなその姿に、不動は声をかけるべきか否か思案する。
 帝国学園の誇るべきキャプテンであり、かの鬼道財閥の跡取り、そして成績優秀品行方正、非の打ちどころがない鬼道。
 勿論そんな鬼道を、玉の輿を狙うハイエナのような女子たちが放っておくわけがない。
 つまり、鬼道がチョコレートを貰わないわけがないのだから、チョコレート談義で不機嫌になる理由がない。
 ではなぜ、鬼道はこの上ないほどに不穏な空気をまとっているのか。
 不動は意を決して鬼道に話を振った。
「鬼道クンはもちろん、手に余るほどチョコレート貰ったんだよなァ?」
 不動の言葉に顔を顰める鬼道。
 その表情を見て地雷を踏んだことに気づいた不動は、頬を引き攣らせた。
「えーっと……まさか、貰ってないとか?」
「そのまさかだ、不動。俺は本命の一つを貰えればいいと思っていたからな。他のものは全て断った」
「アハッ……本命、ねぇ」
「不動、お前は随分たくさんもらったようだな。……あとで覚悟しておけ」
 目を泳がせる不動の肩に手を置く鬼道。
 鬼道は口の端を釣り上げ、極上の笑みを浮かべる。そして不動にしか聞こえないような小さな声でそう囁いた。


「ほら、口を開けろ」
 鬼道の部屋のベッドの上。
 両手首をネクタイで一纏めにされベッドヘッドに括り付けられている不動は何とも言えない表情を浮かべた。
 唇に押し付けられたのは何の変哲もないチョコレート。甘い香りが鼻腔をくすぐる。
 不動は観念しておずおずと口を開いた。
 放り込まれたチョコレートが舌の上でとろけ、中から甘いアルコールがじわりとあふれ出す。
 チョコレートとアルコールの絶妙なハーモニーに、思わず不動は舌鼓を打つ。
「ん、うまいわこれ。ウイスキーボンボン?」
「あぁ、お前のためにシェフに作らせた特注品だ。まずいわけがなかろう」
 得意げな表情を浮かべる鬼道。
 不動は口をあけ、次をねだる。
 しかし、鬼道はそれを無視して不動の制服のスラックスを下着ごとずり下した。
 そして頑なに閉ざされた紅色の窄まりをつぅ、となぞる。
「そうがっつかなくても、いくらでもくれてやる。こっちの口にな」
 口の端を釣り上げて至極楽しげに笑う鬼道。
 しかし俎板の鯉さながらの不動には抵抗する術など残されていなかった。
 鬼道は自らの口に丸いチョコレートを含み、不動の蕾に口づける。
 鬼道の口腔内で溶けかけたチョコレートが、口を閉ざす窄まりに押し付けられた。
 ぬるりとしたそれは、存外抵抗なく不動の中に飲み込まれていった。
 鬼道は舌で、不動の直腸に飲み込まれたチョコレートを転がす。
 次第に溶けていくチョコレート。
 じわりと中からあふれ出すアルコールのなんとも言えない感触に不動は身を捩った。
「や、ァ……きど、ぉくん……なんか変っ」
「なに、お楽しみはこれからだ」
 そう言って鬼道はもう一粒チョコレートを手に取ると、有無を言わせず不動の中に押し込んだ。
 チョコレートに濡れた蕾はたやすく茶色い球体を飲み込む。
 不動は内股を震わせながらされるがままになっていた。
 二本の指で不動の直腸に飲み込まれたチョコレートを転がす鬼道。
 熱い内壁に溶かされていく球体。
 どろりとあふれ出たアルコールが不動を苛む。
「ァ、はッ……っくぅ」
 頬を上気させた不動は、苦しそうに脚を引き攣らせる。
 鬼道はくちゅくちゅと指で不動の中を嬲りながら、白い太ももに舌を這わせた。
「どうだ、不動。気持ちいいだろう」
「う、っく……きど、ぉくん、なにこれ」
 視界がぐるぐると回り、脳を直接かき混ぜられるような錯覚。
 ふわふわと浮いたよな感覚に、不動は目を剥く。
 息ができないほどに苦しい。
 助けを求めたいのに、両手はベッドヘッドに括り付けられたままだ。
 不動は足を突っ張らせて、体を蝕む異常な感覚に耐えようとする。
「くくっ、知ってるか不動。直腸から摂取するアルコールは、口から酒を飲むよりも回りが早いんだ。しかも少量でおかしくなれる程酔える。便利なものだろう」
 鬼道はそう言って不動の尻穴から指を引き抜き、不動の白い頬を撫でてやる。
 チョコレート色の線が白い頬に残ったのを、鬼道は愛しげに舐めてやった。
 そして徐に不動の両手首を拘束するネクタイを解いてやる。
 不動の両腕は、自由になるやいなや鬼道の首に巻きついた。
 決して離すまいと、ぎゅっと抱きつく不動。
 胸を上下させ苦しそうに息をしながらも必死に鬼道にしがみついた。
「ぁ、っくン、きど、ぉくん……体おかしくなる」
 視線の合っていないアイアンブルーの瞳は、それでも懸命に鬼道を映そうと努力する。
 ぐらぐらと歪む視界に、ただ一つ揺るがないもの。愛しい鬼道の姿を離すまいと、その胸に顔を埋めた。
 そんな懸命な姿が愛しくて、鬼道はほくそ笑む。
「不動、どうして欲しい? このまま抱き合っているだけでいいのか」
 意地悪く問う鬼道に、不動は切なげに眉を寄せた。
 沸き立つほど熱い内壁をどうにかして欲しい。
 このままで、すむわけがない。
 おかしくなりそうな程焼け付く直腸を鬼道のそれに掻きまわしてほしかった。
 両足をあげ、自らの尻を押し広げる不動。
 ひくつく肛門からは、茶色いチョコレートがとろとろとあふれ出し白い尻を汚す。
「ぅ、あ……きどぉ、くんのちょうだい? なかぐちゃぐちゃにしてっ」
 不動ははくはくと息を吸い込みながら切れ切れに懇願した。
 潤む双眸で見上げられ、鬼道はもはや止まることができなかった。
 性急にスラックスを下し、いきり立つ昂りをチョコレートの溢れる蕾へ押し付ける。
 そして、一思いにそれをねじ込んだ。
「ァァアアアアアアアッ、ヒ……っく」
 ほとんど慣らしていないも同然のそこに、勢いよくねじ込まれる楔。
 不動は目を剥き嬌声を上げた。
 ビクビクと引き攣る内股。鬼道は愛しげにそれを掴んだ。
 そして、ぐちゅぐちゅと浅く腰を揺らす。
「ふふ、さすがに熱いな。不動、見ろ。貴様の尻穴からいやらしく、チョコレートが溢れている」
 笑いながら揶揄する鬼道。
 不動が目をやると、確かに鬼道と繋がっている場所からぶちゅぶちゅと茶色いそれが溢れていた。
 色が色だけに、まるで脱糞しているようだと思い羞恥に頬を染める不動。
 しかし、鬼道は気にせず中を掻きまわした。
 熱く火照る内壁はきゅうきゅうと鬼道の肉棒を締め付けながら、奥へ誘うように蠕動する。
 誘われるまま、不動の最奥を抉る鬼道。
 不動は喉を反らし、快感に耐えようとする。
「ぁ、っひ、っく、うぁ、んっく」
 揺さぶられるたび途切れる嬌声。それでも、不動の口から止まることなく甘い喘ぎが漏れ続ける。
 そんな不動が愛しくて、鬼道は不動を強く抱きしめた。
「ん、ァ……きど、ぉくん、もっと、もっといっぱいぐちゅぐちゅしてぇ」
 うつろな瞳で、ねだる不動。
 鬼道はそんな不動の白い頬に優しく口づけて小刻みに腰を揺すった。
 粘着質な水音が、ぬちゃぬちゃと室内に響く。
「すきっ、きどぉ、くん、すきぃっ、ヒ、やァァアアッン」
 良いところを絶え間なく抉られて、びくびくと体を痙攣させながら必死に告白する不動。
「俺も、貴様を愛している」
 そんな不動の呼吸を奪うように口づけて、鬼道は囁く。
 咽ぶほど甘い香りに包まれて、二人は互いを貪りあった。

 情交の後、ぐったりとベッドに仰向けになる不動の髪を優しく梳きながら鬼道は小さく笑った。
 チョコレートまみれの互いの体。
 どちらともなく甘い香りが放たれている。
「きどぉくん、鞄とって」
 気だるげに体を起こした不動がそう言うので、鬼道は近くに落ちていた不動のスクールバックを取って渡してやった。
 ごそごそと中を物色する不動。しばらくして目当てのものを見つけたのか、おずおずとそれを取り出した。
 不動の手にあるのは、可愛らしくラッピングされた小さな箱。
 鬼道は小首を傾げた。そんな鬼道の手に、不動はその小さな箱を押し付ける。
「この季節にそういうの買うの、すげぇ恥ずかしかったんだからな」
 そう言ってぷいと顔を逸らす。
 徐に包装紙をはぎ取ると、中には可愛いらしいチョコレートの箱。
 思わず頬が緩んだ鬼道は、不動の体を抱きしめた。
「不動っ」
 言葉にできない喜びを表すように、ぎゅっと不動を抱きしめる。
 不動もまんざらではない表情で鬼道を抱きしめ返してやった。
「あの、さ。お前がチョコ一個も受け取ってないって聞いて、結構嬉しかったぜぇ?」
 小さな声で、それでも確かに不動はそう言った。
 鬼道は欲しかった一個を貰うことができてこれ以上にないほど幸せだった。
「俺が欲しいのは、不動からのチョコレートだけだ。本命以外必要ないだろう」
「ん、ばぁか……でも、さんきゅ」
 はにかみながら不動は言う。
 鬼道はそんな不動に触れるだけのキスをした。
 心なしか甘いキスに二人は小さく笑った。

END
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文月様、リクエストありがとうございました。
愛ある鬼畜な鬼道×ビッチではない不動。甘々仕立てにしてみましたがいかがでしょうか? ドキドキ
少しでも気に入っていただけたら、幸いです^^
温かいコメントと素敵なリクエストありがとうございました!
私なんかの小説やイラストを大好きとおっしゃっていただけるなんて……身に余る光栄です^^
書き方が好きというお言葉、物書き冥利に尽きます! 本当にありがとうございます!
あきおたんへの愛でモリモリ更新してまいりますので、これからもよろしくお願いいたします^^
またのお越しを心よりお待ち申し上げます♪





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