「なんだよ、コレ」 部屋に来るなり、俺のスクールバックを勝手に物色していた不動が低い声を上げる。 可愛らしい眉間に皺を寄せて、不動は一枚のDVDを取り出した。 そのDVDの白いレーベルには、ご丁寧にもマジックペンで「裏もの」と書かれていた。 「あぁ、何やら凄いDVDらしいぞ」 不動がなぜ不機嫌なのかはわからないが、別段やましいこともなかったので、俺は素直にそう答えた。 そのDVDは、辺見に無理やり渡されたものであり、俺の所有物ではない。しかし、不動は俺のものだと勘違いしているらしい。 「なぁんで、源田クンは凄いDVDなんかもってるわけ? 俺じゃ満足できないとでも言うつもりかよ」 上目づかいで、唇を尖らせながら詰め寄る不動。 俺は思わず柔らかそうなその唇を、自分の唇でふさいでしまった。 愛らしい唇を、舌でなぞるとほんの少しだけ口が開かれる。 すかさずそこに舌を滑り込ませ不動の温かいそれに絡めるとくちゅ、といやらしい水音が鳴った。 息もつかせぬほど深い口づけ。 不動の口腔内を貪り、唾液を流し込むように舌を絡める。 「んっ、むぅ……ぁ、っげ、源田ァ」 俺の腕の中にすっぽりと収まってしまった不動は、大きな瞳を潤ませ身を捩る。 力ない腕で胸を叩かれ、俺は仕方なく不動を開放してやった。 「てめぇ、話をはぐらかすな」 肩で大きく息を吸い込んだ後、濡れた唇をぬぐいながら不動は言い放つ。 決して話をはぐらかしたつもりはないのだが、不動にはそう受け取られてしまったらしい。 「すまない」 素直に謝ると、不動はぷいっと顔をそらしてしまった。 「あやまるっつーことは、やましい気持ちがあるってことだよなァ?」 「いや、DVDについては謝るようなことはなにもないぞ?」 話がどうもかみ合っていないような気がして、俺は不動の言葉を訂正した。 そして、DVDを押し付けられた経緯を説明してやった。 「源田さぁ、抜いてる?」 「何をだ?」 佐久間の問いの意味が分からず、俺は聞き返す。 佐久間はしょうもないとでも言いたげな表情を浮かべ、お手上げのポーズをとった。 「だよなぁ、源田そういうの疎そうだもんな」 隣にいた辺見が便乗して話に加わる。 「だいたい、モテるくせに、女からの告白全部断ってるんだぜ。もったいない」 佐久間がそう言って、俺の腹筋に肘鉄をいれる。地味に痛い。 「そうだ、もったいなさすぎるぞ!」 そんなことを言われても、俺には不動という可愛らしい恋人がいるのだから断るのは至極当たり前の話だった。 だが、そんなことを佐久間と辺見にカミングアウトするわけにもいかず、俺は曖昧な笑みを浮かべた。 「よし、この俺が真面目一徹、サッカーが恋人の源田にいいものを貸してやろう」 そう言って辺見は、一枚のDVDを半ば強引に俺のスクルーバックに押し込んでしまったのだった。 「……ということがあったんだ」 俺が一連の経緯を説明している間、疑るような眼差しで俺を見ていた不動は「ふうん」と納得したのかしないのか微妙な声を上げた。 「不動が抜いてくれてるから、俺にはそんなもの必要ないんだがな」 俺はそう言って不動の体を後ろから抱きしめ、うなじにキスをする。 不動は何も言わず、俺の胸に体重を預けた。 「あたりまえだろ。俺がいるのにそんなのに頼るって言うんだったら、お前とはもうしてやんないからな」 首を傾け、俺に不意打ちのキスをする不動。 恥ずかしそうに笑った不動は、ぐるりと体を反転させ俺の胸に飛び込んだ。 勢いよく飛びつかれ、俺はクッションの上に背中から倒れ込む。 俺に跨った不動は不敵な笑みを浮かべてつぅ、と俺の胸元を指でなぞる。 「今日もたっぷり搾り取ってやるぜぇ?」 口の端を釣り上げて蠱惑的な笑みを浮かべる不動。俺は不動のこの表情が好きだった。 挑発するような視線で見下されると、背筋をぞくぞくとしたものが走り抜ける。 不動の白く細い指が、俺のズボンをゆっくりと下ろしていく。 まだ反応を示していないそこを、不動は下着の上から優しくなぞる。 なんともいえないもどかしい感触。 不動は自分の上唇をぺろりと舐めた後、俺の臍のあたりに舌を這わせた。 ねっとりとした粘膜でぐりぐりと臍を舐られ、くすぐったいような感覚に俺は思わず熱い吐息を漏らしてしまう。 丹念に臍を愛撫した不動の舌は、ゆっくりと下へ移動していく。 そして、下着の上から俺のものを舐り始める。 ざらざらとした布の感触。はがゆさに、俺は唇を噛んだ。 「アハ、源田のチンポ元気になってきてるぜ?」 くすくす笑いながら、楽しそうに俺のものを指でなぞる不動。 早く直接触れて欲しい。そんな思いが募る。 「不動、もう……」 「いいぜぇ。そのかわり、俺のも舐めてくれよ」 ぐっと、自分の下着を下し俺の顔に股間を押し付けるような体勢をとる不動。いわゆるシックスナインの状態になる。 淡い色をした不動の小さなペニスは、俺に愛撫を加えながら熱を持ち始めていたのか、硬く芯を持ちとろとろと先走りを溢していた。 ぢゅ、と先端をすすり、睾丸を揉みしだきながら舐ってやると、不動の口から甘い吐息が漏れる。 「ん、ぁ……源田ァ……」 快楽を求め、不動の腰は小さく揺れる。 先端のひくつく穴を舌先で抉りながら、幹を扱いてやるとぴゅくぴゅくと溢れる透明な液。 それを指に絡め、ひくつく窄まりに塗りたくる。 紅色の愛らしい蕾は、てらてらと濡れてなんとも艶めかしい。 人差し指をいささか強引にねじ込んでやると、不動の腰がビクンと跳ねる。 「や、ァっ……ん」 「不動、さっきから口がお留守だぞ」 そう咎めてやると、不動はおずおずと俺のものへの愛撫を再開する。 不動が下着をずらすと俺の肉棒は、勢いよく飛び出した。 すでに熱を持ち始めているそこは、どくどくと脈打ち淫らな液を滴らせている。 不動は小さな口をいっぱいにあけ、俺のものを咥え込む。 狭い口腔内できゅうきゅうと締め上げられ、俺の肉棒はさらに質量を増す。 喉の奥を抉られ、苦しそうに涙を浮かべる不動。それでも、懸命に口を窄め吸引する。 緩急をつけて吸引されると、今にも達してしまいそうなほど気持ちがいい。 不動にも気持ちよくなって欲しくて、俺は不動の尻穴に舌を這わせた。 肛門の皺を丹念に舐り、舌先を窄め蕾を押し開く。 指も一緒にねじ込み、ぐるりと掻き回してやると不動の内股がひくひくと震える。 左手と右手の人差し指と中指を挿入し、左右に押し広げ窄めた舌からたっぷりと唾液を注ぎ込む。 熱い腸壁をちゅぷちゅぷと音を立てながら舐ると、蕩けたそこは物欲しげにひくつくのだった。 早く、不動の中に己の猛りをねじ込みたい。 細い腰を掴み乱暴に揺さぶりたい。 熱にうかされた不動をあますことなく貪りたい。 そんな凶暴な欲求がどんどん大きくなっていく。 俺は不動を四つん這いにさせ、白い尻を鷲掴み物欲しそうにひくつく蕾に自らの昂りをあてがった。 「あ、ぅ……源田ァ、早くナカ、ぐちゃぐちゃにしてくれよぉ」 恍惚とした表情で見上げられ、俺は我を忘れて不動を貫いた。 狭い肉穴を押し開く熱い凶器。 太く逞しいそれは、不動の直腸を擦りあげ最奥を抉る。 「ひっ、ァ、ァ、ァァァアアアアッ」 ズンっと、内臓を揺さぶられ不動は悲鳴に近い嬌声を上げ体を弓なりにした。 熱い内壁が俺のものを離すまいと締め上げる。 絡み付くような感触がたまらない。 不動の細い腰を掴み小刻みに揺さぶると、不動の尻穴からぐぷぐぷと淫らな音が漏れる。 「ァッ、っく、や、ァ、ァ……っぅ」 衝動で途切れ途切れになる不動の喘ぎ。 肉と肉がぶつかり合い、パツンパツンと高い音が鳴る。 粘膜の擦れる音と、二人の熱い呼吸。室内は淫らな音で支配されていた。 ぎりぎりまで抜いた肉棒を勢いよく最奥までねじ込むと、不動の背は面白いくらいにしなる。 俺はごりごりと不動の前立腺を集中して攻めたてる。 ラストスパートをかけ、大きくグラインドした俺は不動の最奥に熱を放った。 迸りを受け止め同時に達する不動。 がくりと腕の力が抜け、前のめりに倒れ込む。 腰を掴んだままだった為、俺に尻を突き出すような体勢になっている。 ずるりと萎えた肉棒を引き抜けば、ぽっかりと開いたままの肛門からとろりと白濁が滴る。 その様がいやに艶めかしくて、再び下半身に集中する血液。 鎌首をもたげた俺の肉棒を見て、不動はぐったりとしながらもどこか嬉しそうに唇を舐める。 突き出した尻に、自らの指をねじ込み左右に広げる不動。 白濁を美味しそうに咀嚼する肉色の淫らな内壁が俺の眼下に晒される。 「まだまだなんだろォ? いいぜ、溢れるくらい注いでくれよ」 淫靡な表情で笑う不動。 俺はたまらなくなって、そのまま第二ラウンドへ突入したのだった。 「おい、どうだった?」 DVDを返すと案の定感想を聞かれ俺は微妙な表情になる。 正直なところ、結局DVDを見ることはなかったからだ。 「え、あぁ。実は見ていない」 「なんだよ、それ。じゃあもう少し貸してやるよ」 そう言って、DVDを俺の手の中に戻そうとする辺見。 「いや、その……」 「くそデコ、源田はそんなものに頼らなくても、もっとイイもんで抜いてんだよ、バカ」 俺ががしどろもどろになっていると、通りかかった不動がDVDのケースを辺見につき返してしまう。 「ハァ? どういう意味だよ」 「言葉のまんまだっつーの。なぁ、源田ァ」 口の端を釣り上げて笑いながら、俺の肩を叩く不動。 形のいい唇を見ていたら、つい昨日のことを思い出して下半身が熱くなる。 結局あの後、数えきれないほどイってしまった。 不動の言葉の通り、DVDなんかよりよっぽど良かった。 いや、DVDは見ていないから比べようはないのだが、きっと……いや、絶対不動のほうがいい。 「そういうことだ、辺見」 へらりと笑ってそう言ってやると、辺見は腑に落ちないといった表情で俺と不動を見るのだった。 END |