フリフリのレースをあしらった、『いかにも』なデザインのメイド服。 某ディスカウントショップで気軽に購入できるようなそれは、文化祭の遺物である。 去年の文化祭、不動のクラスの出し物はメイド喫茶だった。 別に女子がキャイキャイ騒ぎながら、ひらひらのメイド服に身を包み盛り上がるだけなら害はない。 しかし、女子は男子にもメイド服を強要したのだった。 結果、不動もしぶしぶながらメイド服を着る羽目になったのだ。 さて、そんな青い思い出の一ページとなったメイド服が今になってなぜ不動の目の前にあるのか。 答えは単純だった。 帝国学園メンバーによる新年会もどきのパーティー。 そこで催された人生ゲームで、最下位となった不動に対する罰ゲームとして佐久間が用意したのだった。 「おら、さっさと着ろよ、あきなちゃーん」 ニヤニヤ笑いながら囃し立てる佐久間。 「うっせ、くそ佐久間」 佐久間を一瞥して、ポリエステルサテンの安くさいメイド服に腕を通す不動。 薄く、つるつるとした生地の感触に不動は眉を顰めた。 「はっ、どーだよ。これで満足か」 「ニーソもあるぜ」 そう言って、ふてぶてしく胡坐をかく不動の前に紺色のニーソックスを差し出す佐久間。 「げぇ」 心底いやそうな顔をしながらも、不動は差し出されたそれに足を通したのだった。 「源田ぁ、どうよ。俺のメイド服」 源田の足にまたがり、不敵な笑みを浮かべ舌なめずりをする不動。 慌てる源田の姿を見たくて迫ったつもりが、するりとスカートの下の尻を撫でられ不動はビクリと震える。 「ちょ、源田っ」 「かわいいぞ、不動」 そう言ってへらりと笑う源田の手つきがいやらしい動きに変わる。 とっさに源田から離れようと試みるが、強い力で腕を掴まれかなわない。 至近距離にある源田の口から吐き出された息が酒臭いことに気づき、不動は佐久間を睨みつけた。 「おい、源田に酒飲ませたのお前か」 「はっ? 知らねーし。つか酒混じってたのかよ。どーりでデコが大変なことになってるわけだ」 存外、冷静な態度で呟く佐久間の視線の先にいる辺見は上着を脱いで五条に絡んでいた。 「じゃあ、そろそろお開きっつーことで」 無責任にもひらひらと手を振って部屋を出ていく佐久間。 「ちょ、佐久間っ! てめぇ、ふざけんな」 「不動」 ふにゃふにゃとした表情で名前を呼びながら不動に頬擦りをする源田。 幸せそうなその顔を見てしまうと、止めろとも言えずに不動は小さく息を吐いた。 「ここじゃ、いやだからな」 キスを迫る源田の口を手で覆って、不動は言い放つ。 源田は一瞬目を丸くするが、現状を把握したらしく大きく頷いた。 新年会が開かれていた寮の辺見の部屋から出て、二人は不動の部屋に移った。 不動の部屋についてすぐ、待ってましたと言わんばかりの勢いで不動の唇を奪う源田。 いつもより強引なそれに、不動は少したじろぐ。 電気もつけていない薄暗い部屋に響く水音。 ちゅくちゅくと互いの舌を絡め、熱い口腔内を貪る。 「っふ……ぁ、ん……」 飲みきれなかった唾液が、不動の顎を伝い首筋を濡らす。 源田は、唾液に濡れる不動の顎を舐め、首筋に噛みついた。 「ひ、っく……源田ァ」 首筋を執拗に舐められ、吸われ不動はいてもたってもいられなくなり身を捩る。 しかし、源田はそれを許してはくれなかった。 覆いかぶさるように、不動の身動きを奪い、なおも首筋を責めたてる。 白い首筋に咲く赤い鬱血の痕と、歯型。 テラテラと唾液に濡れるそこは、得も言われぬ艶めかしさが漂っていた。 不動は執拗なまでの首筋への愛撫で熱を持ち始めた下半身を、源田の太ももに擦り付けるように腰を揺らす。 早く下も触って欲しい一心で、無意識のうちの行動だった。 ひらひらのスカートが捲れ、露わになる下着は先走りでねっとりと濡れている。 源田は小さく笑って、不動の下着を下してやった。 勢いよく飛び出す不動のペニス。 淡い色をした小ぶりなそれは、ひくひくと震え欲を吐き出す時を待ちわびている。 しかし、源田はそこには一切触れず、再び不動の首筋を貪り始める。 時折、思い出したかのように服の上から胸の飾りを弄ぶが下半身には一切触れようとしない。 「やぁ……源田ッ、触ってっ」 頬を上気させ、自ら源田の太ももにペニスを擦り付け腰を振る不動。 にちゅにちゅと卑猥な音が部屋に響く。 源田のジーンズは不動の先走りでしっとりと濡れてしまっていた。 「触っているだろう?」 知ってか知らずか、源田は不思議そうに小首を傾げ、不動の両の乳首を捻る。 「っく、ァァアッ」 ビクンと体をしならせ、嬌声を上げる不動。 源田は、服の上から不動の乳首に舌を這わせた。 濡れた生地越しに、敏感な場所をグリグリと舐られ、不動は水からあげられた魚のように震えることしかできずにいた。 「ちがっ、そこじゃなくて」 泣きそうな顔で訴える不動。 「じゃあ、どこなんだ?」 源田はそう言って非情にも、不動から身を離してしまう。 「あっ……」 熱を持った体を放り出され、戸惑う不動。 「源田ぁ……」 甘えるように縋って、源田の上着の裾を掴んでも源田に動く気配はない。 「どうして欲しいか、言ってくれなきゃわからないぞ」 そう言って、不動の頬を撫でる源田。 その手つきが優しすぎて、不動は熱い息を漏らす。 早く、源田の大きな手で核心を嬲って欲しい、ひくつく内壁をぐちゃぐちゃに掻き乱してほしい、そんな欲求ばかりが大きくなっていく。 不動はスカートをたくし上げ、源田にすべてが見えるよう四つん這いになった。 そして、淫らに開閉を繰り返す熱い肉穴に指をねじ込み左右に広げる。 「早くここと、ちんぽ弄ってくれよぉ」 「不動っ」 頬を紅潮させ必死におねだりをする不動の姿に、源田はいてもたってもいられなくなった。 四つん這いの状態で突き出された白い尻に舌を這わせる源田。 犬のように不動のひくつく蕾にむしゃぶりついた。 「ヒッ、ぁ……ァァアアッ、やぁ、あっく」 淡い色の蕾を押し開くように舌と指をねじ込むと、不動の口からあられもない声が漏れる。 一本二本と指を増やしながら、舌で唾液を送り込む。 ぬちゃぬちゃと淫らな音を漏らしながら、不動の肉穴は源田の指を奥へ誘い込むように蠕動する。 熟れた内壁が吸い付くように収斂し、まるで源田の指と舌を離すまいとしているようだった。 ぴゅくぴゅくと透明な先走りを漏らし続ける不動のペニスを、源田は空いている方の手で弄ぶ。 先端の敏感な孔をくりくりと弄ってやれば、肉穴がきゅっとしまり不動が感じていることが一目瞭然だった。 「っく、ん……ぅ、源田ぁ、早く挿れてくれよぉ」 中途半端な愛撫より、熱い剛直で中を乱暴に掻き回されたくて不動は訴える。 源田はジーンズのジッパーを下し、熱く滾る肉棒を外気に晒した。 脈打つ凶暴なそれは、すでに臨戦態勢がととのっている。 不動のものとは比べ物にならないサイズのそれを、ひくひくと戦慄く小さな蕾に押し付けた。 そして、一思いに刺しぬく。 「ひぃ、ァァァアアアアっく」 狭い入口を無理やり押し開き、強引にねじ込まれる剛直。 熱い肉棒で内壁を擦りあげゴリゴリと前立腺を抉られ、不動は体を弓なりにして悲鳴に近い嬌声を上げる。 「や、ぁ、あ……あぅ」 目を見開き、恍惚とした表情で口をはくはくとさせる不動。 源田はそんな不動のうなじを舐め、小刻みに腰を揺すった。 ぎちゅぎちゅと接合部から漏れる水音。 流し込んだ唾液と源田の先走りが交じり合った粘着質な液体が、ピストンのたびにぱちゅぱちゅと淫らな音を立てる。 蠕動する内壁は奥へ奥へと源田の肉棒を誘った。 誘われるがままにコリコリとした前立腺を何度も抉ってやると、不動の体は面白いくらいに痙攣する。 「ァ、っひ……くぅ、アァアアッ」 「っく、不動っ」 生理的な涙を流し、涎も垂れ流したままの不動の顔を犬のように舐めてやる。 不動はくすぐったそうに目を眇めた。 「はぁ、っく……げ、んだぁっ」 「不動っ」 頬を伝う涙の線を舐めとった後、物欲しそうにうっすらと開かれた唇に噛みついてやると、不動は満足そうな表情を浮かべる。 ちゅくちゅくと角度を変え啄むようにキスをすると、もどかしそうに舌を差し出された。 その舌に己の舌を絡ませ唾液を流し込みながら腰を揺さぶると、不動は苦しそうに眉を寄せながらも必死にこたえようとする。 その姿が愛しくて、愛しくて、源田は不動を強く抱きしめた。 「愛してるぞ、不動っ」 そう囁きながら、源田は不動の最奥に熱を放つ。 熱い迸りを腹の奥に感じながら、不動も達した。 「……」 源田は混乱していた。 目を覚ますと、隣には白濁やら何やらでドロドロになったメイド服を着た不動の姿。 そんな自分は上半身裸。かろうじて穿いているジーンズからは一物がはみ出している。 昨晩は帝国サッカー部のメンバーで新年会をしていたはずなのに、途中からきれいさっぱり記憶が抜け落ちていた。 「ん……ぅ」 身じろいだ不動が、瞼を擦りながら上半身を起こす。 「ハッ、昨晩は随分なことしてくれたじゃねぇか」 口の端を釣り上げて笑う不動に胸元をなぞられ、源田はビクリと体を震わす。 「あ……おはよう、不動。その、なんだ。俺は昨日何を……」 「忘れたとは言わせねぇぜ? この、変態」 そう言って、不動は自分の首元を指さす。 そこに残る赤い鬱血の痕と歯型を見て、まざまざと思い出される記憶の断片。 源田は青くなりながら、不動に頭を下げたのだった。 END |