●3月27日
さて問題です。この日はなんの日でしょう。 「さくらの日だな」 「違…わなくもないんだけども、もっと大事なことがあるよね露草」 にっこり。鴇が笑顔で何かを訴えてくる時はだいたい面倒くさいことか厄介なことが多い。長く付き合ってきた仲だからわかる事だが、この場合は前者の気がする。そもそも、問題形式で聞いてくるところから面倒くさい。 「わかんねーよ」 「ほらほらよく考えて。俺に関係してる事だから」 答えを求めているのはこちらなのに、あくまでも俺に言わせようとするのは何故なのか。納得がいかず、目の前で笑う鴇の頬を抓ってやろうと手を伸ばす。鳴かぬなら鳴かせてみせようホトトギスとはこのことだ。 しかし伸ばした手は鴇に捕まり、指が絡められる。ぎゅっと握られればその手はもうどうすることも出来ない。 「おい離せ」 「露草がこうしたかったんじゃないの?」 くすくすと笑う鴇の声が耳に響く。何がおかしいんだよと聞いたところで、その答えは自分の顔が熱いことから分かりきっていた。 「このまま、貰っちゃいたいなぁ」 何を、と口に出そうとした言葉は寸前のところで止まった。3月27日。この日はなんの日でしょう。最初に鴇が言った言葉だ。大事な日で、鴇に関係している日で、何かを貰える日。 ヒントを組み合わせてわかった答えは至極単純なもので、それを忘れていた自分も自分だ。握られた手を自分から握り返すと、鴇が目を見開いた。 「欲しいなら、やるよ」 何が欲しい?そう聞こうとした言葉は鴇の唇で塞がれた。
(※多分現パロ)
●兄弟パロ(梵露鴇)
露草が告白されたらしい。 その現場に居合わせてしまった不幸な男(三男である鴇時だ)が言うには、相手はとても可愛らしく、おそらく年上の、露草も知らない女子だったと言う。 「それで露草はなんと答えたんだい」 「それが、返事は待つって言って逃げてっちゃって…」 「なんだいそれ。露草も困るだろうに」 はぁ、とため息をつく。露草より年上ということは自分と同じ学年だ。よりにもよって、なんで露草に目を付けたのだろう。 「まぁあいつの事だ。色恋沙汰に興味はないだろうよ」 「………そうかな」 「ん?」 「だって、めちゃくちゃ可愛かったんだよその人!その気がなくても男なら1回くらい付き合っちゃってもいいかなーとか思うよ普通!露兄だって男だよ!?もしかしたらもしかするかもじゃん!!」 ゼーハーと息を切らし涙目で訴える哀れな男(三男だ)は、何かを想像したのだろう。その場にへたりこみ、今度はブツブツと呪文を唱え始めた。 「そうだよもし露兄がその人と付き合ったらその人が露兄の1番で隣にいられてキャッキャウフフできてその人と過ごす時間のが増えて俺に構ってくれなくなって俺が露兄の1番じゃなくなって「ちょっと待て」 どうでもいい妄想をつらつら話す馬鹿な男(ry)にストップをかける。明らかにただの妄想でしかない馬鹿げた話だが、勘違いをしたまま話を続けられてもいい迷惑だ。 「何、梵兄」 「露草の1番は俺で君じゃないだろう?」 「はぁ?」 さっきまでこの世の終わりが来たような顔をしていた鴇時の表情が一気に変わる。その顔には、何言ってんだこいつと書かれているようだった。 「梵兄何言ってんの、露兄が俺のこと大好きなの知らないの」 「君こそおかしなことを言うね。露草が俺のことをどれだけ好いているか見てわかるだろうに」 「それ梵兄の妄想だろ!」 「君のが妄想だろう」 違う、違わないの口論が始まった。こいつとはいつもそうだが、話が剃りあわない。特に露草に関しては。このままうだうだと話をしても同じだろう。どうするべきかと考えているところに、玄関の方からドアを開ける音が聞こえる。 同時にバタバタと廊下に向け走り出す。バタン、とドアの閉まる音がした時には、鴇時と2人で玄関の前に息を荒くし立っていた。そこにいたのは先程まで話題にしていた本人だ。兄と弟の出迎え(?)に露草は目を丸くしてどうしたんだよ、と聞いてきた。鴇時の声と、自分の声が重なる。 「「露草(露兄)の1番はどっち!!」」 前のめりで問えば、露草はポカンとし、そして呆れた表情で俺たちに言った。 「そんなの、どっちもだろ」
(※どちらも同じ、1番の家族) (※後日梵天が告白した子に断りに行ったとかなんとか。)
●24×16
「昔は俺を追っかけ回して可愛かったのになー」 そう言われ、露草はムッと顔をしかめて鴇を見た。 「昔っていつの事だよ」 「んー?露草がこのぐらい小さくてー、ときーときーって言いながら俺にくっついて来たり」 「わーわー!」 顔を真っ赤にさせ、手を大きく振り露草は話を遮った。鴇はこうしてよく昔話をすることがある。あの頃は〜とか、小さかった頃は〜など、自分が覚えてもない頃の話ばかりで正直露草は面白くなかった。 「なんで急に昔話なんだよ」 「えーだって露草が高校生かーって思ったらあんなに小さかったのになーとか懐かしくなってさー」 「おっさんみてーな台詞だぞそれ」 「失礼な!まだまだ若いよ俺」 ケラケラ笑う鴇にふぅ、とため息を吐き出した。久々に勉強を教えてもらおうと思い露草は鴇の家に来たのだが、それはあまり捗っていない。テーブルの上にあるまだ新しい教科書を眺めても答えは出てこないし、貰った課題の紙は数箇所しか埋まっていなかった。 ソファに座る鴇をじっと睨みつけても、見慣れているからか全く動じず、それどころか笑みは深くなるばかりだ。 「…そうやって、子供扱いしてられんのも今のうちだかんな」 ふいとそっぽを向いて露草は言い放つ。その仕草でさえ子供っぽいのだが、鴇からしてみれば露草はまだまだ子供だろう。露草にとっては難しい高校生の問題も、鴇は簡単に解けてしまう。そのくらい鴇との差は縮まらない。 初めてあってから10年。秘めた想いに気付いてからは2年。縮めたいその差は開くばかりだ。 「………子供扱い…ね」 ポツリと小さい呟きが聞こえ、露草は鴇の方を振り向いた。先程まで笑っていた鴇の顔が、今は嘘のように真顔になっていた。 「鴇?」 「ねぇ、露草」 鴇はゆっくりとソファから立ち上がり、ラグの上に座っていた露草の側に近づくと、しゃがみこんで目線を合わせた。 「俺がなんで、露草を子供扱いするかわかる?」 「馬鹿にしてるからだろ」 「違うよ。そうじゃなきゃ駄目なんだ」 何が?露草が問いかけようとした言葉は鴇の目を見て吐き出すことができなかった。露草は知らない。そんな目を自分に向ける、鴇を。 「子供だと思ってなきゃ駄目なんだよ。まだ、そうじゃなきゃ俺が露草を傷つけるから」 鴇の手が露草の頬に触れる。ビクリと、体が揺れた。 「止まらなくなる。もっと触れたくてもっと近づきたくなる。欲しくて欲しくてたまらなくなる。だからさ、露草」 その瞳に、露草は目を逸らすことができなかった。 「もう少しだけ、子供扱いされててよ」 クスリと弧を描いた唇が、微かに触れた。そんな気がした。
(※手を出すのは18からと決めてました)
●学パロ梵露
5月の風が涼しい時期は眠り心地がいい。そんなことを思いながらゆったりとしたソファの上に寝転び、眠りに落ちようとしていた時だ。生徒会室の扉が開いた。 …誰だせっかく寝ようとしていたのに。副会長の銀朱だとすれば叩かれ起こされるか、まだ寝てないのがわかり悪態をついてくるはずだ。扉が閉まる音がして、しばらく目を閉じていてもそのどちらも起こることはなく、銀朱ではないとわかる。 誰かがいる気配はあるので、影形が無いものではないだろう。目を閉じているから眠っていると勘違いして、静かにでもしているのだろうか。生徒会委員にそんな気を使う奴などいただろうか。 それでも起こされないことをいいことに目を開くことなくいれば、入ってきた人物はゆっくりと自分が眠る(狸寝入りだが)ソファに近寄ってくる。 (…見られてる、な) 視線が痛い。委員の奴なら起こせばいいだけの話なのに、そいつはそうしない。もしや生徒会委員でも何でもない奴だろうか。そう考えたと同時に、ギシリとソファに手をかける音と、俺の頬に誰かの手の感触がする。 は、とそいつの吐く息の音。そしてそれがだんだん近づいて、唇に暖かい感触。時間にすればそれは数秒で、ゆっくりと離れていく―――ことは無かった。 「んっ、んん!?待っ、んっ」 そいつは離れるどころかもっと深く角度を変え、唇を何度も重ねてくる。耐えきれずに口を開けば、今度は舌が入ってきた。 「ふ、あっ」 歯列をなぞり、舌を舐められる。絡められるそれに力が抜けて自分の声とは思えない甘い声が漏れた。 「おはよう。露草」 やっと離された唇からは声よりも先に息がでた。はぁ、はぁとゆっくり息を整え、そして自分に覆いかぶさるそいつを睨みつける。 「何しやがんだ!梵天!」 「お前が勝手にここで寝てるからだろう。だから俺が起こしてやったのさ」 「わかっててやったんだろ!」 「さぁね」 ふふと楽しそうに笑うその顔に、確信犯であることを悟った。よりにもよって、なんで他の委員ではなくこいつに1番に見つかってしまったのか。 「つーか、起きたからどけよ」 「んーどうしようか」 そう言いながら、寝てる自分の身体を挟みその上から梵天が乗り上げる。狭いソファがギシリと鳴った。 「は、」 「サボりの一環で生徒会室を使い、狸寝入りをする悪い生徒には、生徒会長自ら指導をしてあげるとしよう」 にっこりと笑う梵天に対し、サーと血の気が引いていく。やっぱり寝てないの分かってたんじゃないか、指導ってなんだ、いろんな言葉が頭の中に浮かんでは、そのどれも声に出すことさえ出来ず消えていった。 今はただ、梵天を退けようと必死に抵抗する、この攻防戦に打ち勝つことだけだ。
(※その後現れた銀朱さんに怒られる(主に梵天が))
以上!誤字脱字あってもスルーしてください!!
2018/06/03 |