どれ程歩いたのだろうか。
真っ暗な舘では、ファインダーのランプだけが周りを照らしてくれている
『ねぇ、なんかここ変じゃない?同じところをずっと歩いてる気がするの』
「そうか?こういう建物だとよくあるし、錯覚してるんじゃ?」
「いえ、カノン様の言う通りでございます。あちらをご覧ください」
ファインダーが指差した先には、ナイフで傷がつけられた壁。
もしもの為に、目印としてつけておいたのだ。
ジロリとラビを見つめるカノン
『あんたさぁ、そんなんでブックマンになれると思ってんの?』
「あ、あははは…ちょっと考え事してたさ…」
そんな視線から逃れるように頭を掻いて目を逸らす
『あら、考え事する余裕がまだあるのね。なんならもう一発…』
「うわわわごめんって!ってかカノン!女の子なのにそんな乱暴になっちゃダメさ!」
騒いでいると奥の暗闇が揺れた
『! ラビ』
「あぁ…わかってるさ」
ホルダーから武器を引き抜き構える
暗闇は未だに揺れており、足音が近づいてくるのは解るが、姿は見えない。
やがて足音は止まり、
「私の城に何かご用ですか…?」
鈴のような声が廊下に響いた。