両親の死後、大切に保管されていた形見の1つは、カノンが使うイノセンスである。
両親が残したイノセンスを使い初めてから、彼女は全く成長していない
まるで過去に囚われてしまったかのように
「いや、別にそういうつもりで言ったんじゃないさ、ただ…」
「エクソシスト様、こちらです」
同行していたファインダー(探索部隊)の一人に会話を遮られてしまった
目的地に着いたらしい
『あ、うん。…ねぇ、ラビ、途中から聞こえなかったんだけど』
続きを聞こうとしたが、ラビは曖昧に笑うだけだった。
ファインダーに案内され、館の中へ入る
外見はかなり古めかしい感じがしたが、中はそれほどでもなく綺麗だ。
キョロキョロと見回していると、近くを飛んでいる無線ゴーレムと話終えたらしく、再び歩き始めた
後に続くラビとカノン。
「…カノン…」
『何』
隣を歩く少女は、前を見据えながら歩き続ける
「手」
恐いものなど無いような表情をしているカノン。そんな彼女は、自分とはぐれてしまわないように、しっかりと手を繋いでいる
『あんた、こういうの苦手でしょ?』
「え、い、いやまぁ……怖くないって言ったら嘘になるけど…」
不敵な笑みで、遠慮する必要はないのよ。私は貴女より年上だし、勝れているのだから。と話す彼女は、自分と同じようにこの状況が怖くて仕方無いのだろう。
その発言について言及しようものなら今度こそイノセンスでやられかねない。
「頼もしいさぁ…」
もはや苦笑いするしかなかった。