中には、小さなテーブル、絵本、玩具箱、箱から出されたであろう積み木などが置いたままになっている
どこもかしこも埃が積もっており、誰かが立ち入った様子はない
ここも、思い出の場所―――
置いてある物は両親の部屋から持ち出した物だ
両親の死を知った時ずっとこの部屋に引きこもっていた。
悲しくて、認められなくて、ずっとここで帰りもしない両親を待っていたのを覚えている。
そんな中、一人の男に会った。
彼はずっと自分の遊び相手になってくれた
悲しみを乗り越える事が出来るようになったのも、彼のお陰と言っても過言ではない。
名前も知らない人だったが、もう一度会えるならお礼を言いたいと思う。
『進まなきゃね。コメット』
踵を返し、部屋を後にする
瞳に迷いは、なかった。