『……ふん、戦は人を変えるの。昔の私と比べないで下さる?』
そう言って、やんわりとリナリーを退かす
「…ふてくされたような顔で言われてもねぇ」
「…そうねぇ…」
『五月蝿いわねぇもー。先中入ってるからねっ!』
機嫌を損なわせてしまったらしく、ずんずんと中に入ってしまった
「ねぇ兄さん」
「ん」
「なんだかカノン…寂しそうな気がするの」
「そう…だね。でもココならカノンの古馴染みがたくさんいる。…リナリーも含めてね。きっといつか心を開いてくれるさ」
『……はぁ……』
(それにしても、久しぶりよね…此処へ来るの。
昔はママとパパに連れてってもらって…途中で疲れて寝て…気がついたら着いてたって感じだったものね)
広く長い廊下に立ち尽くし見上げる
壁に触れて、懐かしいと彼女は思う。瞳はどこか憂いを帯びていて――。
『……子供の頃は大きいなって思っていたけど…まだ大きいままね』
踵をかえし、カノンはある一室へ向かった