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わたしは守くんの笑顔が大好きだった。
守くんは泣き虫だったわたしの傍にいつも居てくれた。
それはずうっとずうっと続いていた事。
それは守くんに大切な人が出来ても続いていた事。

何かあるとその大切な人よりも先に、大切な事よりも先に、守くんはわたしの傍に来てくれた。
守くんの一番は、何があっても、例え隕石が地球に落ちてこようともわたしだった。わたしは守くんの人生とも言える、大事な大事なサッカーよりも。何よりも、守くんの一番だった。


小さい頃、泣き虫だったわたしは、周りからしょっちゅう煩わしく思われていた。

なまえちゃんは、泣き虫さんだからオママゴトはしちゃだめよー。
なまえちゃんは、泣き虫さんだからオニゴッコはできないのー。

ただ泣くばかりの女の子の相手をするのは、誰でも面倒くさい事だろう。
実際、わたしはただ泣くばかりの女の子だったから、その内誰にも相手をされなくなってしまったのだ。

そうして何時も家の近くの公園で一人シクシクと泣いていたら、声を掛けてきたのが守くん。
守くんは、今よりもずっとずっと高い声で一人なら一緒にサッカーやろうぜ!とお日様みたいに笑ってそう言ったのだ。


そう、守くんの笑顔はあの頃から変わっていない。
 キラキラしていて、ピカピカしている。濁りの無い水みたいで綺麗。
そんな守くんに人が集まらないわけがなく、昔から守くんの周りには人がたくさん居た。
嬉しいことにわたしはその人たちの中でも守くんの一番でいられたのだ。







守と久しぶりに地元に戻ってきた。守のご実家に向かうため、近道だからとわたし達が出会ったあの公園を通る。
懐かしいなと目を輝かせ、守はわたしの少し前を歩く。


「守!!」

守は、わたしの声を聞いてくるりと振り返る。

こうして今も一緒に居る、わたしと守は出会ってもう二十年になろうとする。いつの間にか、守くんと呼んでいたわたしは守。と彼の事を呼ぶようになっていたし、今のわたしと守の関係は以前と少し、変わっていた。

「どうしたんだ?なまえ。」

ふわりと笑う。昔から変わらない守の笑顔。でも、少しだけ大人の顔になっていて。

歩くスピードが速い!テンション上がりすぎ!と怒ろうと思っていたけど、心の底から他に言いたいことがムクムクと沸き上がる。

「あのね、守!わたし、守とずっと一緒に居たい!!」

耐えきれずにわたしがそう言うと守は一瞬驚いた顔をして、そうして直ぐ、出会った日と変わらないあの笑顔と一緒に当たり前だろ!と高らかに叫んだ。

小さな公園に守の声が響く。叫び声やらで近所迷惑だなあと思いつつも、幸せな気持ちが先走ってわたしは守に抱きついた。

守はうわっ、と声を漏らしたけどお構い無しにぎゅうっと強く彼の背中に腕を回す。

そんなわたしに「しょうがないなぁ」と守はぎゅうっとわたしを抱き締めかえす。
後日、偶然これを見ていた友達にバカップルは程ほどにな、と笑われる事なんか露知らずにわたしはこう言うのであった。



「大好きだよ、守!!」















円堂さん好き!!



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