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モスカシリーズの原点である初代モスカの置物を作ってみた。無駄にリアリティーのある、木像の、約五分の一スケールの置き場に困るサイズのモスカ我ながら趣味が悪いものを作ったな。と思い捨ててやろうとしたが、それを同居人のスパナが手酷く阻止したせいで捨てるに捨てれなくなってしまった。(モスカオタクなのだ、奴は)


「スパナー。」
わたしの嫌に間延びした声が部屋に響いた。
愛用のニスの臭いが部屋に充満していて、木工の類いが苦手なスパナは少し不機嫌そう。金属が好きな機械オタクだから仕方ない。因みにわたしは金属の類いがどうも苦手だ。どうして性別も好みも違う二人を同室にしたのか、勝手に部屋を決めた高校の同級生である入江に問いただしてみたいが、まあ今は気にするところではない。
「なに。」きゅぽん。わたしが問うてから十秒強、口から棒つき飴を出した奴はやっとこさ声を挙げた。

「なに。じゃない、重い。」
「ウチは重くない。」
「うるせえ、わたしは重い。」
きゅぽんきゅぽんきゅぽん。背中越しに奴の口から飴が高速で出し入れされているのが見えてる気分になった。
そんなわたしはそんなスパナにぎゅうぎゅうと押し潰されまいと努力して背中に力を込める。作業をしているわたしに、奴は突然もたれ掛かってきて、今に至るのだ。重たい。当然成人済みのカタギじゃないイタリア男子と成人済みでカタギじゃないけど平均より小さいわたしの力の差は歴然としていて、スパナは今も尚、わたしを押し潰そうと力を入れなかったり入れたりしながら人の心臓をひやりとさせる行為をそりゃあまあサディスティックに行っているのだ。無意識の内に。
「いやなおとこ。」
ぽつんと呟いた言葉は奴のくしゃみに掻き消された。
「さむい、」
「あっちにストーブあるから付けて来れば?」
「なまえから離れるともっとさむい。」
「あっそ、」
ずびい、奴が鼻を啜る音が部屋に響いた。



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午後三時のプラトニックラブ

20110207



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