くらくらする





「あなた。誰でしたっけ」

所要で不慣れな街を出歩いていると、突に知らぬ女にこう、声をかけられた。

誰でしたっけ、と尋ねられても己は目の前の女など話したことはおろか、目に止めたことすらないはずだ。
特に名のある人間でもないし、誰かを通じて自分を知ったというわけでも無かろう。

黒田は己をじいっと見上げる、おそらく自分よりも10は幼いであろう女、否、少女と呼ぶ方が良いかもしれない、その少女を同じようにじいっと見下げながら、そう逡巡していた。

「さあな、小生はただの通りすがりだ。お前さんとは面識も何もないのに、変なことを問うんだな」

「そうですよね、でも、やっぱり、どこかでお会いしたような気がして。すみませんでした。変なことを聞いて、それじゃあ、急いでるので。失礼します」

急いでいるというのに己に声をかけたのか、そう考えている間に少女は黒田の前から去っていった。
なんだ、あいつ。
1分にも満たないやり取り、嵐と呼ぶには短すぎる、黒田はあっけに取られる自分を理解しながらも先の少女が立っていた所に目をやり、そして気付く。

何てべたな、なにか物語が始まりそうな偶然、おそらく少女が落としたであろう小さな落とし物がそこにはあった。


から始まる黒田転生現パロ〜。
女子高生と官兵衛〜〜〜。

土日模試なんで月曜からバサラはじめます。
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