恋愛感情

試験期間。教室で勉強中、喉が渇いたから飲み物を買って戻ってきたら、なまえが机に突っ伏して寝ていた。……全く、勉強教えてほしいって言ったのはどこの誰だっけね。でも、なまえの寝顔を見ながら自然と口元が緩んでいるのに気付いて、やっぱり俺もこいつのことが好きなんだな、なんてふと思う。なまえと付き合う前にも好意を寄せてくる女子はいくらでもいたけど、自分から本気で誰かを好きになったのはこれが初めてなんじゃないかな。

『んっ……らーめんたべたーい……』

寝言でラーメンって。ここは彼女として可愛らしく俺の名前とか呼んでほしいよね。まあ、こういうところもなまえらしくて俺は好きだけど。ほっぺたをむにむにと摘まむと、うーんと唸りながらも何だか幸せそうな顔をする。…やっぱり、なまえはいじり甲斐があるよ。

『んー……あ、亮介?私寝てた?』
「寝てたよ。いびきかいてね」
『えっ!うそ!いびき?!』
「あはは、嘘だよ。寝言は言ってたけどね」
『えっ!寝言でも恥ずかしいんだけど』
「なまえに女らしさなんて求めてないからいいけどね」
『何それ!心外なんですけど!』

そう言って少しむっとした顔をしてからまた笑い出すなまえを見て、ああ、やっぱりこいつと付き合っていてよかったなと思う。俺がこういう性格だってことを理解して、変に拗ねたりしない。まあ、いじり甲斐はあるけど。これは本当。

『あー、でもまだ眠いなあ』
「次寝たらキスするよ?」
『えっ……じゃあ、おやすみー』
「へえ。そんなに俺とキスしたいんだ?」
『ぐーぐー』
「ほら、お望み通りしてあげるよ」

座ったまま目を閉じて寝たフリをしているなまえを少し強引に引き寄せてキスをする。こいつ、こういうの好きなんだよね。まあ、俺も好きだけどさ。そして照れながら目を開けてこっちを見たときに、もう一度、さっきよりも深いキスを落とす。

『亮介…!』
「何?とろけちゃった?」
『もー!すぐそういうこと言う!』
「否定はしないんだ?」
『……亮介のいじわる!』
「ありがと」
『褒めてないから!』

いつも通りの会話をして、いつものように笑う。付き合いが長くなればなるほど、こういうのは当たり前になってきて、幸せにも慣れてしまうのかな、なんて思っていたけど。…そうでもないのかもしれない。この時間が好きだから、きっと俺は飽きもせずになまえをいじるんだ。

「ラーメンでも食べに行く?」
『え、なんでラーメン?』
「なまえの寝言」
『えええ、やだ私色気ない!』
「元からでしょ。で、食べに行くの?」
『うん!行く行く!』

机の上をあっという間に片付けたなまえが、早く早く、とドアのところで俺を呼ぶ。本当、こういうときだけは準備早いんだから。まあ、そんな俺も急いで帰る支度をしちゃってるんだけどね。俺がドアのところまで行くとどちらからともなく自然に手と手が絡み合って……俺の心が何だか温かいもので満たされた気がした。こういう感情を教えてくれたのは、今俺の隣で鼻歌を歌ってるこいつだよね。





(亮介なんか顔赤くない?もしかして照れてる?)
(は?何言ってんの?)
(やっぱり照れてるんでしょ!)
(…うるさい)
(っ!……こんなところでキスしちゃ駄目だよ!)
(別にいいじゃん)
(よ、よくなーい!)


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