海底の中を進んでるから、船の中から見える景色は言わずもがな真っ暗。だけどきっと海上に出ても、空もこれと変わらずな色をしてるに違いない。今はそれくらい真夜中な時間帯。
なのに本当に、今日はびっくりするくらい眠りにつけない。

キャスケットに言われたように羊を数えてもだめで、ペンギンに言われたようにホットミルクを飲んで体を温めてもだめだった。ベポに一緒に寝てもらおうと思ったけど、部屋の前に行くと既に大きないびきが聞こえてきたからUターン。
だから最後の手段にと取っておいたキャプテンの部屋をノックした。


「なんだこんな時間に」
「キャプテンどうしよう、寝れないの」


途端に呆れた顔をされたけど、構わずに部屋に入ったら後ろから舌打ちが聞こえた。机の上に開いた医学書とペンがあったから、キャプテンがなにをしてたかはすぐにわかった。


「俺の読書の邪魔はするな、と散々言ってるはずだが?」
「…ごめんなさい。だけど、でも、頼れる人がもうキャプテンしか居ないの」


めんどくさい、と顔にありあり書いてあるキャプテン。わたしはベポと一緒に寝るためにと持ってた枕をギュッと握る。
仕方ねェなと呟いたキャプテンは、医学書をパタンと閉じた。わたしは意味のわからない行動にきょとんとするだけ。


「ほら、ベッド入れ。一緒に寝てやる」
「いいの!?」
「ちょうどキリもよかったしな。ただ今晩だけだぞ」
「ありがとうキャプテン!」


急いでベッドに潜り込むと、後からキャプテンも入ってきて、わたしはぎゅうぎゅうとキャプテンに抱きつく。鬱陶しいなんて言いながらも抱き締め返してくれるキャプテンの体温に、今まで冴えてた頭が嘘みたいに眠気で占領されてゆく。


「キャプテン、おやすみなさい」


あァ、の返事とともにぽんぽんと一定間隔で背中を叩かれて、わたしは微睡みの中へゆっくり浸かっていった。


キャンディナイトメア



きれいだね様に提出





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