(学パロ)

その笑顔は反則だと思う。


「なんだユイはそんな問題も解けないのか」

「誰かさんの教え方が悪いんじゃないの?」

「…ほんとに可愛くない生徒だな」


ズキリ
堪えないといけない痛みが胸に広がるけど、わたしは笑顔を貼り付けてやり過ごす。
こんなやり方でしか、自分の想いと付き合って生きていくことができないから。


「わたし以上に可愛い生徒なんてどこ探しても居ないよ、シャンクス」

「…お前なぁ、俺が先生だってわかってんのか?」

「はいはい、わかってるよ先生。
それよりこの問題、どう解くの?」


わかってるよ。だからこそ、辛いんだ。

成績がよろしくないわたしのために、週に1回シャンクスが補講をしてくれる。わたしだけ、そのことが嬉しくて、問題が解けてもわたしは悪い成績を取り続ける。
じゃないと、シャンクスとの関わりがなにもなくなる気がして。


「お、正解。ユイも補講じゃできるのに、定期試験じゃダメだからなぁ」

「…。わたしが知りたいよ」

「とりあえず、キリがいいから今日はここまでにするか!暗くなる前に帰れよ?」

「…はーい。お家で彼女が待ってるもんね」

「おい!」

「ごめんごめん。じゃ、バイバイ先生」

「え?」


薄いカバンを引っ掴み、シャンクスの顔も見ないで教室を出る。
少し暗くなった帰り道は、なんだか見知らぬ道みたいで。

わたしに興味がないだけならいいけど。シャンクスは先生で、彼女が居る。
わたしなんかじゃ、叶いっこない。


「……なんでシャンクスなんだろ」


たくさん出会った人の中で、なんでわたしはシャンスクに惹かれたんだろう。彼は素敵な人だけど、この年でこんな無謀な恋をするなんて。

珍しくいつもより勉強したからか、大きなあくびが一つ。
わたしの叶わない恋心も、眠りに就く時かもしれない。



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