ローは話してる途中のユイの腰を抱き無理矢理引き寄せると、そのまま隣の席に座らせた。
不意打ちの動作で銃はテーブルの上に落ち、ローはそれを拾うとユイのホルスターに差し込んだ。
自分の元に戻ってきた銃を一撫でしながらちらりと横目で確認したローの姿に、ユイは酔ってもいないのに顔が赤くなるのを感じた。
仲間になってまだ日も浅い彼女にとって、数多居る海賊の中でも格段に端正な顔立ちの部類に入るローを間近で見ることは、平然として出来るほど慣れたものではなかったのだ。
更に「ずいぶん似合ってるな」なんて耳元で囁かれたのだから、顔どころか身体中が真っ赤になるのも無理はない話だ。

「キャプテン、わたしで遊ぶなら船に帰らせてください」

ここに居たらローに何をされるかわからない、だったらせっかくの陸だけどペンギンと船に残って居た方がきっといろんな意味で安全だろう。
そう判断したユイは席を立ち上がろうとしたが、それはローの強引な腕に阻止された。
そのタイミングでキャスケットがお前も飲め、と甘いカクテルの入ったグラスを置いて行ってしまったのだから、ユイはそのまま居座るしかなかった。
さっきからチラチラとローを覗き見るユイだが、自分を無理矢理にも隣に座らせた張本人はまったくこちらに見向きもせずに酒を飲んでいた。
クルーたちは馬鹿騒ぎをしながらも、こちらに絡んで来る者は居ない。
それは、いつも男勝りで勝ち気な性格のユイが急に女らしく見え、どう接すればいいかわからないと言う不器用な海の男たちの心情からなのだが。

雰囲気に耐え切れなくなった彼女はただひたすらに目の前に置かれたグラスの中身を減らすことに専念し、3杯目を飲み干す頃には顔も赤らんできた。
とろけた脳内には、先ほどからずっと思っていた疑問が色濃く浮かび上がっている。
さっきまではいつもより近くに居るローに戸惑い躊躇してたが、ほろ酔いのユイは戸惑いの気持ちをどこかに追いやってしまった。
だから思わず聞いてみたのだ、真横に座る隈を蓄えた我らのキャプテンに。

「なんで、わたしにドレスを?」


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