ユイの居た国では、クリスマスと言えば、ふわふわ降る雪の中をトナカイのひいたソリでかけるサンタのイメージ。もちろんユイの頭の中でもそう。
だけどどうだろう。今いるこの海域は、明らかに夏の気候。イメージとは180度もかけ離れていた。それに、今年のクリスマスはユイにとって家族と過ごさない初めてのクリスマス。自ら海賊になると言って出てきたが、やはり少し寂しい気持ちは拭えなかった。

「あーあ」

周りが暗くなり始めて、なんとなく溜め息。女部屋にはユイ1人だけで、そんな彼女を窓から月の光りが照らす。
ナミはあの景色のいい浴場で入浴中だろうし、ロビンは月灯りだけを頼りに難しい本を読んでるだろう。
部屋に自分しか居ない理由に最もらしい答えを見つけて、ユイはまた1つ溜め息。こんなに暗い気分になったクリスマスは生まれて初めてだ。

「おいユイ、お前早く来いよ!」

その時、バンッと勢いよく女部屋の扉を開けて、ウソップが入ってきた。

「ちょっとウソップ!ノックくらいしてよね!」

ユイがそう言って怒っても、聞く耳を持たないウソップ。しまいには、動かないユイの腕をとって走り出した。

「ウソップ、どこ行くの!?」
「いいから。すげーんだって!」

訳がわからないまま、ユイが引きずられてきたところはキッチン。ウソップが扉を開けると、みんなの顔がそろって居た。
それに…、

「…うそ」






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