「ユイちゃん、ブルーベリーのタルトを作ったんだけど。居るかい?」
「……サンジくん、甘い物は嫌いって言ったでしょう?」

手に持つのは甘酸っぱい匂いを放つタルト。
ユイちゃんは甘い物が苦手らしい。彼女は俺が作るドルチェを口にすることをことごとく断る。
常に甘さを控え、彼女のことを考えてるのに。料理人としても、さすがに少々堪える。

「一口だけでいい。味見程度もダメかい?」
「…ダメ、ってわけじゃないけど。胃が受け付けないの」

申し訳ないと感じさせない顔でそう告げるユイちゃんは、そのまま俺の手にあるタルトを眺めた。

「でも、それはすごい甘いわけじゃなさそうだね」
「ああ。ユイちゃんのために砂糖を使ってないよ」
「ふーん…」

食べてみるかい?とタルトをユイちゃんの目線まで掲げてみる。それでもまだいい顔をしない彼女に、俺は自分の口にタルトを一囓り。ユイちゃんは不思議そうに俺を眺める。
自分で言うのもおかしいかもしれないが、今日のタルトは特別に美味い。

「サンジくん?」
「ん?」

口の中に広がる甘酸っぱい味を堪能するのもそこそこ、ユイちゃんに近付く。悪い予感がするのか、後退る彼女の腰を片手で抱いてやる。
びっくりして目を見開くユイちゃんの柔らかい口唇に、自分のそれをつける。

「……ん」
「味はどうでした?」

真っ赤にする彼女の顔は、ショートケーキの苺より甘い。そして、ユイちゃんは一言ポツリと呟いた。

「……キスが甘くてタルトの味がわからないわ」


甘いキスを食べましょ
(ほんとに?それならもう1回‥)(いい!いいです結構です遠慮します!)





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