「俺達が生きる意味って、あるのかな…」


佐久間はぽつりと呟いた。俺が首を振ると、佐久間はそうだよな…と唇を噛んで涙を流した。つられるように俺の目頭も熱くなり、自然と同じものが流れる。心にあるのはただ一つ。なぜだろう、なぜ俺達は生きているのだろう。そんな疑問。ぽたぽたとこぼれ落ちる液体は、やがて人の肌の上に落ちる。俺達が見下ろす人間の肌に。


「こいつが死ぬ意味って、あ…」
「あるわけがない!」


つい熱くなってしまい、はっとして佐久間をみる。けれど佐久間はそうだよな、そうだよなと、なにも感じていないように繰り返した。それを見て俺はただ、理不尽さを感じていた。何かを成し遂げるには短すぎる、人の生死の儚さに。


「どうして」
「…げん、だ?」
「どうして」
「………」





「あぁ、どうして何ががいけなかったんだ、何が悪かったんだ、なぜお前は死んだ、俺達が悪かったのか、俺がお前を毎晩犯し続けたのがいけなかったのか、それとも佐久間が毎晩罵り恥辱を与え続けたのが悪かったのか、なぜだ、休みも与えずお前の声を聞いて愉しむ、俺のどこがいけないんだ、安らぎも与えずお前の怯えた目を見て愉しむ、佐久間のどこが悪いんだ、お前だってよがっていただろう、愉しんでいただろう、悦んでいただろう、なにが、なにが、俺達のなにが…」






「源田、もうよせ…」
「俺は…」
「もういいんだ。俺達は悪くない。何も、悪くはないんだ」


佐久間はまた涙を流した。俺達が愛したもの、俺達の生きる意味、俺達の命。それは自ら呼吸を止め、解放された。遺された俺達には、牢獄に身を投じるほかは残されてはいない。眼下に横たわる彼女が、俺達を嘲っているような感覚を覚えた。





人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -