風 「あー、」 「どうした?」 「うー、お腹痛い…」 「な…大丈夫か?」 「大丈夫、大丈夫…。私はこれから先、40年くらいはこの痛みとともに過ごさなくてはいけないんだ。仕方のない痛みなんだよ」 「…持病か?」 「うーん、違うな。…いいから、気にしないでって」 「そうはいっても…」 「いいからいいから…」 青い髪の彼は心配そうに私の手を引いた。私が遠慮しても、彼はだめだといって、家につくまで放してはくれなかった。私よりも真っ赤な彼の頬は、私の痛みを和らげて。今度は俺が腹痛だよ、と彼は笑った。 王 「あー、」 「どうした?」 「うー、お腹痛い…」 「生理か?」 「な…!き、君ってやつは…」 「なんだ、なにがいいたい。生理なんだろう?違うのか?…違わないだろ?どうだ、我慢できそうか?できないんだったら、薬をもらってこようか?」 「何て言ってもらってくるつもりだよ、ありえない」 「ん?…普通に恋人が生理ですっていうけど」 「…う、うわ、いつの間に恋人になったのかな。身に覚えないんだけれど。てきとーなこと言わないでよ」 「はは、今のは俺の願望かな。少し見栄張ってみたんだよ。…それより、」 「な、なに?」 「お腹の調子はどうだ?」 いたずらな笑みを浮かべる彼は、私の頭をぽんぽんと撫でた。いつの間にか消えていた腹痛、そして代わりに襲ってきたのは、死んでしまうのではないかと思うほどの体温の上昇だった。 |