突然メールして、悪い。

今日、久しぶりにあいつに会ったんだ。あいつ、子どもを連れていた。誰の子だと聞けば、うっとうしそうに私の子だと答える。俺は内心、かなり動揺したよ。あいつが結婚していたってことにも、子どもがいたことにもな。…偶然逢えたことに対して感じた喜びが、一気に吹き飛んだ。

でもな、そんなことを嘆いてメールしたわけじゃない。そのあと三人で少し話したんだけどな、あいつはタバコに火をつけていた。いつから吸い始めたんだろうな。慣れた手つきで、疲れた目をして。昔見た笑顔も、一度たりとも見せてくれなかった。一体、何があいつをあんなふうにしてしまったんだろう。

だからお節介だとは思ったけどな、聞いてみたんだ。夫は誰だ、と。そしたらあいつはこう言った。「別れた」って。俺はまた驚いたよ。あいつは何かにイライラしてタバコを取り出すし、子どもは俺を見上げ何も言わない。俺だけが違う時空にいるのかと思うくらいだった。そしたらあいつはタバコの煙を上へと逃がしながら語った。「この子を愛せないと言った人を、愛せるわけがないじゃない」なんて。…俺はなんだか、まだ自分が幼いんじゃないかと思ったよ。母親って、強いな。なぁ知ってるか、鬼道。男は精神的な成長をするきっかけが、女性よりも少ないそうだ。…まぁそのきっかけというのが、出産なんだけどな。俺たちはどうしたら、この幼い心を脱することができるんだろうか。あいつを見ていたら、自分が愚かだって悲しくなったよ。俺はどうすればいいんだろうな。










この子の目が、己の瞳とそっくりだということに気がつかず。彼は私たちの前から去った。昔、「お前が愛する他のモノを、愛せる自信がない」とベッドで笑いながら囁いてくれた時から、あなたが怖くてしかたなかった。私は本当に弱い。弱いからこそこんなものに頼ってしまうんだ。

私はタバコの箱を握りしめて、反対の手で子の手を引いた。弱さと強さを左右に抱えながら、どうしようもないと諦めた。





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