「嘘でもいいから好きだと言って、なんて言葉があるけどな。つまりそれは、その人に好きだと言われたら、嫌いだと言われてるようなものじゃないのか?だって好きって言葉は嘘なんだろ。…わかんないよな。お前は嘘でも好きだと言われたら嬉しいか?」 「うーん、どうだろ…」 源田にしては珍しく、ぺらからと口を動かした。それほどまでに、気になるのだろうか。私は内心呆れながらも、そうかもねと言った。 「嬉しいのか?嘘でも、か?」 「じゃあ源田は、君が嫌いだと言われて嬉しいか?それだったらまだ、オブラートに包んでくれた方がいいだろ」 「そ、それもそうか…」 「それに、嘘でも嬉しいじゃないか。…好き、なんて言葉」 そういったら、彼は急に口をつぐんでこちらを見た。 「お、俺は…」 「うん?」 「嘘ではなくて、お前が好きだ」 「…うん」 心配しなくても分かっているよ。私だって君が好きだ。もちろん嘘なんかじゃない。 そう、嘘をついて、愛の言葉を吐けるほど、私たちは大人じゃない。だからといって、薄っぺらい愛の言葉で済ますほど、私たちは子供じゃない。そんな難しい場所に立たされた私たちだからこそ、たまにこうしてお互いを確かめ合わないとダメなんだ。 LIE 嘘なんて付けるはずがないと、知っているのに聞いてしまう。ただ、独りが怖いから。信じていないわけじゃない。それを君(お前)なら、わかってくれるだろう? |